その他の中編

□見え隠れする鬼
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『そろそろ帰ったらどうですか?』





もう定位置のように赤林さんはソファで寝転がっていた。




「んー・・・おいちゃん帰ったら名無しさんちゃん悲しむじゃん」


『そんなこと無いですよ』


「結構傷つくから止めてね、おいちゃんもう結構なおじさんだから優しくして」


『だったら赤林さんみたいなおじさんに優しくしてくれるお店に行けば良いじゃないですか。結構稼いでるんでしょ?』


「おいちゃんそーゆー系嫌い。てか、何?稼いでるって?誰情報?」


『折原さんが聞かせてくれました』


「情報屋さん?・・・・・・・ん?またおいちゃんが知らない間に男と会ってたの?」



悪い子めー、とおちゃらけるように赤林さんは私を指差す。だけど赤林さんの目はまったく笑っていなかった。
時折みせる赤林さんのその目、私の背中をゾワリと何かを走らせる。




「名無しさんちゃーん、こっちおいでー」





赤林さんはムクリと体を起こし、ポンポンとまるで私に其処に座れと命令するように叩く。


何で、と少し反抗的な顔を見せると。赤林さんはただ静かに「おいで」と口を動かす。






ピリッー…




空気が変わった。







ーー・・・怖っ。









しばらく小さな反抗を続けるが、最終的には言われたとうり隣に腰を下ろす。
隣にいる赤林さんが腕を伸ばし、角ばった手が私の腰を掴む。



捕食。その二文字が頭に浮かんだ。




腰を掴み、赤林さんの頭が私の肩に乗り。まるで私の体を取り込むようにギュッと抱きしめてきた。






「あんま、情報屋さんに近づかないでね?」






少し低い、男性の声が鼓膜を震動させる。











「おいちゃんも一応男だからね?」












それから赤林はただ黙り、名無しさんを抱きしめる。





名無しさんはゆっくりと赤林の背に手を添えた。







ーー・・・これじゃあどっちが子供か大人か分からない・・・。いい大人が嫉妬しないでほしい。




























僕が死んでも


君の記憶と共に僕を生かしてくれ。







































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