K:長編

□寧ろ不気味に感じるの
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『・・・私もバスケやりたいなぁ・・・。』


名前は体育館の隅で同級生が息を切らしドリブルする姿を妬ましく見つめる。

コートにはトボトボと歩く伊佐那社の姿が。



ーー・・・流石もやしっ子。




昨日、私は買出しに行き最悪な事に迷子になった
しかもあげくの果てに足を挫き捻挫した。まさに泣きっ面に蜂である。

なので捻挫のため今日の体育は欠席することに。


ピーっと耳を貫くような笛が。
休憩の合図のようだ。

「うっはー」「疲れたー」と口々に同級生は吐き捨てその場に座り込む。



友人の社がフラフラと近づいてくる。


「あっつー・・・」



崩れるように社は私の隣に座った。


『相変わらず体力ないね・・・はい、お水』



社は本当に体力が無い、一度クロさん達と懐かしき鬼ごっこをした事があった。
しかし鬼が二回変わった時にはもう社は今のようにヘロヘロだった。


「ありがと、まぁ運動神経なんて生まれ持った才能だよ〜」伊佐那は名前からペットボトルを受け取り口に含んだ。


『じゃあ努力ぐらいしなよ・・・』



「えーヤダよー」ベーと赤い舌を此方に向ける。



『ははっ本当にヘナチョコ』



あははと名前は腹を抱え笑った。



「うるさいなー・・・」伊佐那も声を上げて笑った。



「それより、大丈夫?足首?」


社は私の足首を指差す。


『うん、そんな酷い捻挫じゃなかったし・・・。一週間くらいしたら完全復活』


大きくピースサインをする名前。

伊佐那も「安心した〜」とピースサインを返す。


すると二度目の笛がなる。




「はぁーあ、もう終わっちゃった・・・。」


ウゲーと社は肩をガックリと下げる。



『あははっ、頑張って!』



本当に社を見てると飽きない、よく笑うしよくめんどくさそうにするし。
壊れたおもちゃのようにコロコロと表情、感情が変わる。

時々思う、一番人間くさい人間だと。


「じゃあ行ってくるよ〜」社は重たい腰を挙げ、コートへ向かう。


『これが終わったら帰れるよ!ファイト!』



「そだね、もうちょっとの辛抱だね・・」


じゃあねと社は手を振り走り去った。







end.
 

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