ブラコン:長編

□歓迎会
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『わっ星凄い…』


何気なく窓を開けると、吸い込まれそうな暗闇だった。
その中で無数に輝く星達。


『流れ星流れないかなー』





するとトントンと誰かが扉を叩く音が。
こんな夜になんだ?もっと星を見ていたいのに…。

名前は少しの疑念を抱き、ドアノブに触れる。
クイッと手首を捻り、扉を開ける。







「名前、行こっ!!!」






『へ!?』









いきなり現れた客人は椿さんだった。
椿さんは私の手首を捕らえ、部屋から引きずり出す。










「もう皆待ってるぜ!!!」







そのまま椿さんは私を引っ張り、走り出す。
急に加速するので私の足はモタつくが、何とか踏ん張る。




『ど、どういう事ですか??』






「良いから、良いから〜」









『・・・ちょ・・・。』

















数秒走った後、ピタリと椿さんがリビングの手前に止まる。






「はい、入って」椿さんは私にリビングに入るように言う。



『・・・?』




「ね?開けて開けて!」





ニコニコと明らかに何かを企んでいる笑み。
だが、このまま二人で立っていても何も変わらない・・・。
私は椿さんの言われたとうりにドアノブに触れる。









するとパーンと鋭い音がー・・・。












「改めて、朝日奈家にようこそ!!!!」

















私がココへ来た初日を思い出す。
初日と同じようにパラパラとクラッカーの残骸が私の頭に落ちる。










『え、えっとー・・・』






「君が初めて来た日、兄弟全員揃ってなくてさ・・・ちゃんと歓迎会が出来なかったでしょ?」






その場で硬直していた私に雅臣さんが優しくそう言う。





「だからね!今日は皆揃ったから!!!改めてね!!」






私の後ろにいた椿さんがピョーンと抱きつく。
ズシッと椿さんの重みを感じる。








「まぁドッキリみたいなモノです、さぁ冷めないうちに料理を食べましょう」









右京さんの言葉に私以外の兄弟がオー!と拳をあげる。








ーー・・・歓迎会・・・。











「名前、嬉しい?」




私の肩にもたれる椿さんが耳打ちする。






『はい』





それは、もう。と小さく呟く。



「よかった」ニシシと椿さんは笑い、私を抱く腕をよりいっそう強める。
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