ブラコン:長編
□今日は僕だけの
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『・・・ふぅ』
もう夕焼けの家路。
あの後、モデルという訳ではないのに色んなポーズをさせられ。もうヘトヘトである。
隣で歩く琉生が心配そうに名前の顔を覗き込む。
「平気?」
『・・・少し疲れました』
やっぱり慣れないことはしない方が良いな、と身をもって知った。
すると琉生はゴソゴソと一枚の写真を取り出す。
「でもこんな可愛い写真が撮れてんだよ?疲れた甲斐あるよ」
そう言い、私に写真を見せる。
そこに写る笑顔の自分、今更ながらやけに恥ずかしさが込み上げてくる。
『・・・止めてください、恥ずかしいです』
スッと写真を除ける。
琉生は「そう?」と言い、改めてまじまじと写真を見つめる。
「・・・これ僕貰っても良いかな?」
『・・・私の写真ですよ・・・?まぁよろしければ』
「そう?ありがとう」
琉生は嬉しそうに笑い、大切そうに手帳に挟んだ。
「お守り」
『・・・恥ずかしいですよ』
夕焼けと同じような色に染まる名前に琉生は愛おしそうに見つめる。
ーー・・・この写真は兄さん達には秘密にしないと。
end.