黒子のバスケ:長編

□悪魔に聖書の読み聞かせ
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「なんか、妙に家族連れ多いですね。祭りでもしてるんですかねー・・・」


「確かに人が多いね、名前はぐれないようにね・・・」




クルリと氷室は後ろを確認すると、そこには先程まで居た名前の姿が忽然と消えていた。


高尾もあれ?と顔を真っ青にして目をパチクリと瞬きした。





○✖□







最悪だ。
未知の場所で迷子になるとは・・・、全く私はなにをしているんだ!!!

急いで氷室さんか高尾くんに連絡をとろうとしたが、思い出せば二人の連絡先を持っていないことに気づいた。




うわああああああああああああああああああ。





叫びたい衝動を抑え、名前は急ぎ足で二人の背中を探すことに。





○✖□



『あ、氷室さーん!』






少し離れた距離に艶やかな黒髪を揺らす背中。
良かった、と安堵の表情を浮かべ名前は駆け足で近寄りその指先に触れる。




あれ?氷室さんってこんなに背・・・、もっと高かった気が・・・。
にしても氷室さんこんな服着てたっけ・・・?





ゆっくりと顔を上げると、当然のことのようにそこには見知らぬ男性の顔が。
しかも、少しイラついてる?顔をしていた。





『わ!すみません!』パッとその指先から手を離すも、今更遅かった。




「花宮ーどーした?」



近くにいた前髪によって目が見えない男性が近寄る。




「いや、何でもない」と花宮と呼ばれた男は立ち去ろうとしたが。




「迷子?」





前髪の男性の横にいた、もう一人男性が名前に近づき質問する。
花宮は「放っておけ古橋」と言われるが、古橋は無視し名前から離れようとしない。


「チッ、原行くぞ」


「えー、何か面白そーじゃん」



原はヘラヘラとだらしなく口元を緩ませ名前を見下ろす。
自分の思いどうりにいかない花宮はガリガリと乱暴に頭をかきハァーとため息をついた。






「迷子?」と古橋は再度一言一句同じ質問をする。
隣にいる原は相変わらずニヤニヤと楽しそうに口角を上げていた。





『迷子と言われればそうですけど、迷子ってわけじゃ・・・』




「それって迷子じゃん」





名前のセリフを強制ストップさせ、原はゲラゲラと笑いだした。





「迷子の自覚がない迷子かよ!やっべー」



「さっさとそんなん無視して行くぞ・・・たくっ・・・」






原に爆笑され名前の頬はカァーと赤くなった。





めっちゃ笑われてる・・・、恥ずかし・・・。







「じゃあ一緒に探す」









古橋の言葉に先ほどまでバカみたいに笑っていた原はピタリと止まり、花宮も驚きのあまり硬直した。






「えっ?えっ?今の古橋が言ったの?嘘だろ?俺の幻聴でしょ?」




「原うるさい。・・・名前は?」




『あ、・・・名前です』



「名前ね、俺は古橋康次郎。何処ではぐれた?」




古橋さんはどうやら私と一緒に氷室さんと高尾くんを探してくれるそうだ。
この数秒に色々とあったのでようやく頭が追いついた。



『えっと…確か入口付近だった気が・・・』


すると、隣にいた原がニヤッと怪しげに笑い。




「じゃー、俺も一緒に探すっ」




「お前ら・・・いい加減に‥」



「いーじゃん花宮、面白そうじゃん?」


「どこがだよ」


「俺、原一哉ね。よろしく名前ちゃん♪」



『原さん・・・よろしくおねがいします・・』



「こっちの態度悪いのは花宮真、女の子みたいな名前でしょ?」


「おい、原勝手に・・・」


『は、花宮さん・・・えっと・・・よろしくおねがいします』



「…なんで迷子なんか…」ぶつくさと呟く花宮。原はまぁーまぁーと小馬鹿にするように花宮をなだめる。





「じゃあ、入口に行ってみよう」と古橋は切り出し、歩き始めた。
原は上機嫌で苛立つ花宮をズルズル引っ張り、もう片方の腕で名前を獲物のように掴む。





「めんどくせぇな・・・」


「でも、珍しいじゃん?古橋から女子に話しかけんの」










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