黒子のバスケ:長編
□悪魔に聖書の読み聞かせ
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入口付近に行くも、氷室さん高尾くんの二人の姿は無かった。
違う所に行こう、と古橋さんはクルリと体を反転させ雑貨屋、おもちゃ屋、洋服屋…など転々とする。
けれども移動をする度に花宮さんの血管がブチ切れる音が聞こえた気がした。
恐る恐る花宮さんを見ると、背後に禍々(まがまが)しい程の黒いオーラを解き放っていた。
それに気づいたのか、それとも元からなのか原さんはヘラリヘラリと笑いこぼしていた。
うん、とても怖いです。
○✖□
「いないっスね…名前ちゃん…」
全て探しつくし、途方にくれる高尾と氷室。
まだ探していない所はあったか?と二人は頭をフル回転させる。
「あ、和成」
「何ですか?」
「まだ探してないよね、女子トイレ」
「それ、どっちが行くんですか?」
○✖□
「見つかんねーなー」
『本当にご迷惑かけます…』
いくら探しても見つからない。
休憩ということで、四人はベンチに腰かけた。
あぁ、何か凄い迷惑かけてるなー私…。
花宮さんずっとイライラしちゃってるし。
原さんは笑ってて本心どう思ってるか分からないし…。
古橋さんはポーカーフェイスだし・・・。
『あ、あの。これからは私一人で探すのでもう大丈夫です…』
ベンチからパッと立ち上がり、名前は深く腰を折り曲げそれでわ、と立ち去ろうとすると花宮の手により制止された。
「散々人を動き回らせといて、あとはもう一人で大丈夫だ?利用するだけ利用して無理だと分かったらポイッか?」
『いえ、そんなつもりはー・・・』
「この俺をここまで歩かせたんだ、見つかるまで勝手に離れんじゃねぇ」
見下ろしているのは自分の筈なのに見つめる彼の目は凄い威圧感であった。
思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。
「まぁそうゆうことだから」と原は馴れ馴れしく名前の肩に腕を滑り込ませる。
「俺らがちゃんと探すから」
表情こそは無である古橋さん、しかし私を安心させるには十分過ぎる言葉であった。
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