黒子のバスケ:長編
□悪魔に聖書の読み聞かせ
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「名前っ!!」
聞き覚えのある声、後ろを振り向くと誰かに抱きしめられた。
「良かった、探したよ…」
顔を上げると、今日も見事なイケメンっぷりの氷室さん。
氷室さんの背後の隅で高尾くんがニッと笑いピースサインをこちらに向けていた。
『す、すみません。ご迷惑おかけしました・・・』
「いや、見つかって良かったよ…」
ぎゅうううううと氷室さんは私を強く抱きしめる。
背後に痛い視線を感じながら。
「こいつらがお前の探してた奴らか?」
花宮は今日一番のドスのきいた声を名前の背中を射る。
「名前の事はありがとうございます。感謝します」
抱きしめていた名前を背後にいる高尾にパスし、冷たい瞳で氷室は花宮を見据える。
感謝?
ハッ、なんつー目で言ってんだよ。
「次は迷子にさせねーように、その女に首輪でも付けとくんだな」
花宮は言うだけ行って黒髪を流し、氷室に背を向ける。
「名前、それじゃあ」
「名前ちゃんじゃーねー」
花宮の後追う、古橋と原はそれぞれの別れの言葉を告げる。
名前もありがとうございましたっ!と少々ボリュームのある声で感謝を伝える。
見た目は怖そうな人だったけど、良い人達だったなぁ…。
花宮さん、古橋さん、原さん…今度会えたらお礼をしたいなぁ…。
○✖□
確かあいつら、霧崎のー…。
あんな危ねぇー試合する奴らが名前ちゃんを・・・?
チラリと霧崎の背に笑みを浮かべる名前に高尾は少し胸に黒いシミを作った。
何かモヤモヤするなー…。
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