黒子のバスケ:長編

□悪魔に聖書の読み聞かせ
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「名前ちゃん、その歳で迷子ー?」




高尾はバカにするように笑った。
やめてよー、と名前は忘れかけた羞恥を再び復活させる。



「名前」




和やかな雰囲気の二人とは真逆で、冷たい表情を浮かべる氷室。
流石の高尾も一旦笑うのを止めた。



『は、はい?』と名前は躊躇いながらも返事する。






「今度同じことになったら絶対男にだけはついてっちゃダメだよ?もしまた迷ったらあちこち行かないでジッとしておくんだよ?」




言葉こそは優しいが表情はどこまでも冷淡であり。
二人だけの世界で、まるでここだけ酸素濃度が薄く、息すら困難な程。




『わ、分かりました…』





ようやく絞り出た言葉、その言葉を待ってましたとばかりにいつもの柔和な笑みに戻る氷室さん。
すると同時にあれほどまでに困難だった呼吸がスッと楽になり。酸素が体内へ送り込まれた。




「よし、それじゃあ遅くなったけどテレビを買いに行こうか」


「そっスね。電気製品って何処でしたっけ?」


「3階だったっけ?まぁ行ってみよう。名前、行くよ」




ニュッと氷室は名前に右手を差し伸べる。
先ほどの氷室の表情を思い出し、恐る恐るも名前は氷室の手をとる。






「迷子防止」



『もうしませんよ・・・』


「じゃあ俺もー」



高尾は名前の空いているもう片方の手を握りしめた。




『二人共…少し恥ずかしいんですけど…』




まさか美形二人に挟まれる日が来るなんてー・・・。





「えー、折角名前ちゃんが迷子にならないようにしてあげてるのにー?」


「和成の言う通りだよ、さっ早くテレビ買いに行こうか」





いつになく意地悪そうに笑う二人、名前はこれからの生活に不穏な霧がかかった。





































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