黒子のバスケ:長編

□世界は滑稽と偶然で出来ている。
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アルバイト先は家から一番近いコンビニにした。
高尾くんに「夜道は危険だからできるだけ近くにして」ともありココで働くことに。



勤務して一週間。


本当に色々な人が来ます。





噂をすればほら。







「よっ、名前」







こちらに爽やかな挨拶をしてくれたのは、こんがり肌の焼けた青峰くん。
私がここに就いてからは毎日のように顔を合わせる。
かなりの常連さんのようだ。




彼はいつも決まったようにカロリーメイトとスポーツドリンクだけ買う。




『青峰くん、いつも言ってますけど…』



「もっと栄養のあるもの食え、だろ?」


『分かってるなら、ちゃんと野菜とかも…』


「はいはい、分かった分かった」



青峰くんは私の小言をうっとおしそうにあしらう。



「飯食う時間が全然ねぇーんだよ、それじゃあ頑張れよ」




もう何度も聞いた言い訳。
ニッと彼は笑い、ビニール袋を掴み立ち去った。




今度、無理矢理にでも野菜を売りつけてやろうか…、などと計画を企てていたら次のお客さんが来た。






『あ、黒子くん…』



「こんにちわ名前さん」




黒子テツヤくん、透けるほど綺麗な青年。
声には爽やかさが宿っており、まるで早朝の空のような男の子だ。



『さっき青峰くん来てたよ』


「はい、先程すれ違いました」




黒子くんと青峰くんは中学時代にコンビを組んでいたそうだ。
高尾くんから聞くと、マジでハンパねぇとのこと。
一度見てみたいなぁ、なんて。





「あの、切手をください」


『切手ね、了解』





時々黒子くんは商品は買わず切手だけを買いに来る。
前に誰に送るの?と聞いたら実家のおばあちゃんに送るそうだ。
これまた人の良さが分かる行動だ。
おばあちゃん思いの良い人。
黒子くんへの好感度がギュんギュんと上がっていく。




『どうぞっ』



「ありがとうございます、それでは…」



ペコリと頭を下げ、青峰くん同様に立ち去っていった。
私も彼の背中にペコリを頭を下げる。




うん、癒されるなぁ…。


















 

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