黒子のバスケ:長編

□お初にお目にかかります、僕のお嫁さん
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「君がもしかして名前ちゃんか?」




『え?』




アルバイト中見知らぬ男性に名前を言い当てられた。
本当に知らない、だって初めて見たお客さんだから・・・。




「すまんなぁ、いきなりビックリしたやろ?ワシは今吉翔一。いつも青峰がお世話になっとりますー」




“青峰”その名前を聞くと一気に緊張感が消えた。
何だ、青峰くんのお知り合いか・・・。





『は、初めまして・・・。こちらこそ青峰くんと仲良くして頂いてる名前です・・・』




運良く今日はお客さんが少なく、今も今吉さんと私だけだ。
なので少しだけ話をしていたって何とも思われないのだ。本当はダメだけどー・・・。




「うんうん、礼儀正しい子は好きやで?いつも青峰から聞いとるで。やかましい店員がおるって」



話聞いてるっていうより悪口じゃないですか?
やっぱりちょっとしつこかったかな・・・?





「あぁ、そんな悲しまんといて。別に悪口とかでちゃうで?めっちゃ笑っとったし」






私が思っていたことをドンピシャに言い当てる今吉さん。
心読まれた?まさか声に出てた?





「めっちゃ顔に出とるで」





ククッと喉仏を鳴らし笑う今吉さん、顔に出てる!?
思わず自分の顔に触れてみた。






「ぶっはっ!!!!!アカン、何しとるん君!!!」








『んなっ?』













次はお腹を抑えゲラゲラと笑う今吉さん。
しばらくレジのカウンターをバンバンと叩き倒れ込んだ。
本当にお客さんがいなくて良かった・・・。





『そっ、そんなに笑わないでくださいよ・・・』



「無理無理、アホやろ君」




アホッてー・・・。




「ホンマ面白い子やわぁ・・・、青峰が気に入るのも分かるわぁ」




き、気に入る・・・?まさか青峰くんも私のことアホだと思ってるのかな・・・。
今度チャンスがあったら聞いてみよう・・・。





「はぁーー、こんなに笑ったのは久々やわぁ・・・」



長い前髪からチラリと見えた今吉さんの目には涙が溜まっていた。
そんなに面白いかったかな・・・?





「これからよろしゅうな、名前ちゃん」






よっこいしょ、とようやく立ち上がる今吉さん。
しかし未だに笑いは収まらない様子でヒクヒクと口元が動いていた。






『こちらこそ・・・』




「ほな、お仕事頑張ってな〜」




まだ笑いの余韻があるのか、フラリフラリとおぼつかない足取りで今吉さんは去っていった。
危なっかそうな人だなぁ・・・。






取り敢えず青峰くんは私のことをどう話していたのか少々気になるところだ。















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