黒子のバスケ:長編

□傷つく嘘は言わないの
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「名前、和成。申し訳ないんだけど今日から少し家を出るんだが良いかな?」



「今日からって・・・随分と急ですね」



高尾くんの言う通り、本当に急すぎる。
しかも今日から?一体どこへ行くつもりなのか・・・。




「ちょっとしたミスでね・・・。サークルの合宿でね・・・三日くらいなんだけど・・・」


「んー・・・まぁ俺は別に良いですけど・・・」


『わ、私も平気です!』





とにかく仕方ない。
私があーだこーだ言ったところで状況は変わらない・・・。
氷室さんも何度もごめんと謝ってくれる、そんな顔で謝られると胸がキュウと締め付けられる。




『へ、平気です!ね!高尾くん!』



「そーですよ!別に悪いことしたわけじゃないんでそんな顔しないでくださいよ!!」


「そうかい?じゃあ、そろそろ出発の時間だから行ってくるね」



そう言い氷室さんは少し大きな荷物をもってバタバタと玄関へ。
本当にギリギリなんだー・・・。大変。




『はい!気をつけてくださいね!』


「ファイトです!」






私と高尾くんは笑顔で氷室さんを見送った。
さて、氷室さんは何処に合宿するのかな?
お土産頼めば良かったなーなんて思ってしまった。







○✖□





今日は少し早く家を出る。
アルバイト先に新しく来る人がいるのでちょっとした自己紹介があるらしい。
新しい人はそんな人かな?
仲良くなれるかな?
困ってたりしたら積極的に助けよう!
などと少し浮つきながら玄関で靴を履く。






『高尾くん、行ってくるねー!』



「おう!頑張れよ!」








○✖□






「葉山小太郎です!今日からよろしくお願いします!」







元気よく挨拶してくれたのは高尾くんに若干雰囲気の似た男の人だった。
正直女性じゃなくて残念だったところもあったけど、なんだか親しみやすそうな人だったので、普通に嬉しかった。






「じゃあ早速だけど名前ちゃん、小太郎くんに色々教えてあげて」




店長の口から出た名前は私だった。



『え!?私ですか!?』






そういう・・・、所謂教育係というのはもっと偉い人のほうが・・・。と思うが、すでに店長の決定事項なので隣にいた葉山さんはよろしくお願いしますっ、とこちらにお辞儀してくれた。





「名前ちゃんは丁寧でしっかりしてるから適役だと思うよ。それじゃあ皆今日も頑張って!!!」




店長の解散の合図で他の人達はバラバラに散るが、一人だけ葉山さんだけは真っ直ぐ私に近づいてきた。






「改めてよろしく、見た感じ俺より年下だ・・よね?名前ちゃんで良い?」


『全然大丈夫です・・・、えっーと・・・こちらこそよろしくお願いします葉山さん』


「ん。別に年齢のこと気にしないでね?バシバシ教えて!」


ニッとシワを作り笑う葉山さんに高尾くんの影と重ねてしまった。
見た目こそは違うけどやっぱり似てるなーなんて頭の隅で思った。









『じゃあ早速レジの打ち方教えますね』




「りょーかい!」
















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