短編
□その手、離さないと本気で通報するから!
1ページ/1ページ
「せーんぱい」
一日の初めはこの後輩の顔から始まる。
朝から気分が削がれる、何で朝からコイツの顔を見なきゃいけないのだ…。
ニコニコと絶え間なく笑顔をこちらに向ける黒沼くん。
傍から見れば可愛い後輩だろう。
しかしコイツは“可愛い後輩”では終わらない。
「先輩、今日もスカートから覗く生足素敵です。今日はタイツなんですね。俺的には昨日みたいなニーハイの方が好きです。でも一番は先輩です♡」
『う、うん。ありがとう…じゃ』
早くコイツから離れなければ。
私は黒沼くんに背を向け、足早に去ろうとしたー・・・。
ガシリと手首が掴まれた、
「じゃ、て何処に行くんですか?一緒に学校いきましょうよ」
さも当然のように一緒に登校しようとする。
いやいや、一人で行かせて。
「一緒に行きましょう♡」
ダメだ。今日も捕まった。
明日はもっと早い時間に家を出よう…。
その手、離さないと本気で通報するから!
.