黒子のバスケ:長編
□意外と奇跡なんて希に起こる
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「名前ちゃん本当に可愛いなぁ…」
ぼそりと森山先輩が窓に広がる青空を見つめて呟いた。
「本当に好きっスね」
「いや、そんな言葉じゃ収まらない。こりゃ愛だね愛」
愛?
「なんか高校の時とは違うんだよ、確かに可愛い子は居たしタイプの子だっていた。けどの名前は、こう…本気みたいな?」
分からないなー、と森山先輩は机に額をつけ突っ伏した。
本気?
「そういうお前はどうなんだ?」
お前?
森山先輩は首だけ回し、俺に質問してきた。
俺は名前のことをどう思ってる?
短く、とても分かりやすい質問。
それでも俺の答えはスグに出なかった。
あれ?
「どうなの?」
「お、俺はー…」
“ただの友達っス”
なんて言えなかった。
どうして?名前は友達、友達な筈なのに…。
“友達”そのワードに酷く嫌気がさした。
何でだ…。
「俺…仕事があるんで…」
嘘
俺は財布と携帯だけを持ち逃げるように家を出た。
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