短編
□お願いだから視界から消えてくれる!?
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「●●●ちゃん今日はパン?俺とお揃いだね」
一人で居たはずの屋上に来客が来た。
ニコリと人当たりの良い笑みを浮かべた、クラスメイト黒尾鉄朗。
特別今日だけ現れたわけではない、彼は毎度のようにココに現れる。
『・・・黒尾くん?』
「一緒に食べようよ」
うんともすんとも言う間に、彼は馴れ馴れしく私の隣に座った。
黒尾鉄朗、おそらく身長は180cm越え。
ご覧のとうりの笑顔だ、女子の人気はかなりのもの。
バレー部主将。
回りから見ればとても模範的なイケメン。
私も初めて見たときは優しそうな子だと思った。しかし。
「●●●ちゃん、今日廊下で転けてたよね?」
『・・・うん』
確かに、確かに転けた。
しかし問題はそこじゃない・・・。
あの時は幸いにも“廊下には誰もいなかった”。
なので私は転けた場面は誰にも見られることなく終わったのだ。
だが、彼は何故だか誰も見てなかった筈の私の転けた姿を見ている。
影にでも隠れていたのか?
いや、気配が無さすぎ・・・。
「それと朝さ花壇の雑草抜きしてたね?一人じゃ大変じゃない?俺のこと呼んでよ」
『・・・・・・・・・・・・・・うん』
朝、黒尾くんの言うとおり雑草を抜いていた。
先ほど廊下の出来事と同じように周りには誰もいなかった、誰に。
「俺、●●●ちゃんともっと話したいんだ」
ニコリと一切邪気の感じない笑顔。
裏で何を思っているのかー・・・私は考えるだけで涙が出かけた。
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