黒子のバスケ:長編

□色とりどりの未来
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『…、もしかして古橋さんですか?』







本屋、店の奥に立っている大きな背中。
黒髪に高身長、雰囲気といいドンピシャだ。緊張しながらも声をかけると。

男性は首をだけを回し私を見た、やはり古橋さんだった。





「名前?」




持っていた本をパタリと閉じ、淡々とした口調で古橋さんは不思議そうに私を見た。




『はい、お久しぶりです!』


「あぁ」


『あ、そうだ!あの時はありがとうございましたっ…!』






ペコッと私は目線を下にやり頭を垂れた。






「…あぁ迷子になった時?」






私が敢えて伏せたことを悪気もなく口にする古橋さん。
迷子とか恥ずかしいんで言わないでください…。


そうです、と私はポソリと言う。





「気にするな」


『いえ、本当に古橋さん達のお陰で…!』



幾つかのお礼の言葉を述べると、古橋さんは同じように気にするな。と言ってくれた。






「それで、名前も本を買いに来たのか?」



『はいっ!料理の本でも買おうかと…!』


「料理?」


『結構家でも作るんですけどもっとレパートリーを増やそうかと…!』





高尾くんや氷室さん、森山さん達にももっと美味しいご飯を作ってあげたい。
でも、皆どれも美味しい美味しいと言ってくれて嬉しいがもっとこうして欲しいとか聞きたい…。
きっと気を使ってくれてるんだろうなぁ…本当に優しい人達…。
だから、皆に心の底から美味しいっ!て言ってもらえるように修行するのだ!






「…花嫁修行か?」


『いやいや!違いますっ!』


「そうか、俺もお前の飯が食いたい」


『ぜっ是非!!お礼とかもっとしたいんで食べてください!』


「いや、お礼とかはもう別に良い…」


『でも…』


「普通に食べに行きたい…」



ダメか?と古橋さんはジッと私を見据える。




『ダメじゃないです!全然!』





そういうと俄(にわ)かに…私の見間違いか古橋さんの口角が少し上がった。

笑っ…た?






「楽しみにしてる」


『あ、はいっ!』














 

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