黒子のバスケ:長編

□足音を迎えに行く
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一度家に帰り、携帯を開く。




『・・・。』





黒子くんとか青峰くんも誘おうかと思ったがそういえばあの二人の連絡先知らない…。
えぇ…ど、どうしよう…。

携帯をスクロールしていると【花宮さん】の文字が。




よし、黒子くんと青峰くんは後にして先に…!
花宮さん経由で古橋さんと原さんも誘ってもらえば…!

いざ!と通話ボタンを押そうとしたが指が言うことを聞かない…。
だ、大丈夫かな…いきなり誘って…。
怒られるかな?舌打ちかな?




『う、うー…ん…』





悩むこと数分、よしっ!と決心がつき通話ボタンを押し携帯を耳にあてる。








コールが何回か鳴った後に「何だ」と声が聞こえた。
不機嫌なのかそうでないのかいまいち理解できない微妙なトーンだ…。
こ、これ平気だよね・・・?



『は、花宮さん…?』


「なんで疑問系なんだよ、お前が電話したんだよ」


『そ、そうですね…えっーと…今日はお日柄も良くー…』



「用件を出来るだけ簡潔に答えろ」


『31日がもし空いてましたら私の家で年越しパーティーやるんですが、良ければ古橋さんと原さんも誘って是非来てください』


「はぁ?年越し?」


『時間が空いてたらでいいんで…』


「・・・」





花宮さんから返事が返ってこなくなりしばしの沈黙。
あ、あれ?私は何かヘマでもしたか?
何か間違えたか?
ブワァと変な汗が出てきた。変に緊張する。






「行ってやる」







『ふおっ!?…ほ、本当ですか??』


「お前が誘ったんだろ。古橋と原にも言えば良いのか?」



思った以上に花宮さんとまともに会話できてる…!
あれ、少し失礼なこと言ってるけど。まぁ良いか!




『はい!お二人にもお伝えください!』


「ん、じゃあな」






最後の言葉を言い終えると、躊躇なくブツリと切られた。
流石は花宮さん、遠慮ない…。





『でも、これで花宮さん達も…!』




古橋さんと原さんも来てくれたら嬉しいな…!
よしよし!




「あ、名前ちゃん帰ってたんだ。どうお客さんの方は?」


誘えてる?と高尾が名前に質問する。
名前は愚問だと言わんばかりに満面の笑みを浮かべ『順調!』と答えた。






「流石〜」





と高尾くんは私にハイタッチを求める。
私はその手に答えるようにパンッと高尾くんの手のひらを叩き、音を鳴らす。



あ、そうだ。
高尾くんって宮地さんの連絡先知ってるかな?
もし知ってたらお願いしようかな…。



『ねぇ高尾くん。宮地さんの連絡先持ってる?』


「宮地さん?持ってるけど…宮地さんも誘う?」


『うん!お願いできる?』


「うい、了解」





ブイッとピースサインを私に向ける。
宮地さんも来てくれると嬉しいなぁ…。もっとお話したいし…。




「それはそうと名前ちゃん、バイト良いの?もう時間じゃない?」






『え?』





高尾くんの一言に私は急いで時間を確認する。




『うっ、うわあああああああああああ!!』








バイトの時間まで残り五分。


仕事着やら携帯などをカバンに投げ込み急いで支度を始めた。


高尾くんはハハッと眉にシワを寄せ滑稽そうに私を眺める。
くっそう…楽しそうにしやがって…。

























そして今日、初めてバイトを遅刻した。














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