短編
□100%ないから安心して、っていうか消えて!
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「もし●●●ちゃんと俺が両思いだったら〜」
いえーい、と一人で盛り上がり始める原くん。
どう反応すれば良いのか分かりません…。
オマケに原くんは凄く不良っぽいので反論するのも怖いです。
「デートは何処行きたい?」
『…デート?』
「うん、●●●ちゃんは映画館派?動物園派?俺は水族館派」
ででででデート!?
私と原くんがっ!?
いやいや、本気で言ってるの!?
「ショッピングもしたいね」
ね?と原くんは小首を傾げる。
あぁやっぱり女の子達から絶大の人気を誇るだけはある、普通にカッコいい。
今まで何人の女の子を相手してきたのか‥。
『…原くん』
「ん?」
なーに?と甘えた声。
わざとなのか無意識なのか、変に意識してしまう。
『私を相手してるより他の子を相手したらどうですか?』
そう私が提案すると、原くんは私が言った意味が分からないのかもう一度首を傾げた。
「何で?俺は●●●ちゃんとお話したいんだけど」
『で、でも…』
チラリと視線を廊下に移す、廊下には原くんを見つめる女の子達が…。
どの子も可愛い…。
まぁ原くんを見てる+私を睨んでるんだけどね…。
原くんは私の視線を辿りあぁ、と気の抜けた返事をする。
「アイツらは気にしないで、一度遊んであげただけで調子乗ってるだけだから」
ん?
次は私が原くんの言ってる意味がわからなかった。
遊んだ?
「無視していーよ、適当に諦めるから」
遊んだ?
弄んだ?
私はガタリと椅子から立ち上がる。
原くんはどーしたの?と私を見上げる。
『…し、失礼ですけど。私は原くんみたいな人とは両思いにはなれないと思います…』
きっとこれを言うだけで一生分の勇気を使ったと思う。
あぁ…怖い…!
で、でも…女の子に平気でこういうことする人は許せないし…。
「ふーん」
意外にも原くんは楽しそうな声を出す。
まるで童話に出てくるチェシャ猫のような三日月形に口角を上げる。
「新しいタイプの子だよ、俺に面と向かってそう言う子なんて今まで居なかったよ」
原くんは淡々と語りだした。
すると原くんはそうだ、と何か思いついたように私を指さした。
「両思いになれないって言ったよね?」
『は、はい』
「じゃあ試しに一ヶ月俺と付き合ってみない?」
『えっ!?』
「勝負だよ、先に本気になった方が負け」
簡単でしょ?とまるで子供に言いつけるように原くんは言う。
本気になった方が負け!?
てか、私そういうのが嫌なんですが。
『・・・・・・・・・・・・言っておきますけど、絶対私は本気にならないと思いますよ?』
そう言うと原くんは余裕そうな笑みを浮かべ。
「そう言われると火がついちゃうのが男の性♡」
とんでもない男に目をつけられた。
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