短編
□ヘラクレスの受難
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「●●●…」
スリッと猫のようにすりよってきた遙。
どうしたの?と聞けば、いいやと短く答えた。
『眠たいの?』
もう一度質問すれば、いいやと同じ返事が返ってくる。
『じゃあどうしたの?』
「…。」
『…?』
無表情な彼、全く感情が分からない。
何考えてるのかな?
「…」
『は、遙?』
しかし何の返答もなく私に抱きついてきた。珍しいー…。
まさかあの遙から抱きしめてくれるとは…。
これは間違いなく何かがあったのだろ…。
「ー…な」
ぽつりと雫のような小さな声が耳に届いた。
「真琴ばかり相手するな」
(意外と寂しがりだね遙)
(…、…うるさい)
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