Free!:中編
□君が僕の前に現れた日
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After the 7th
「来週から、クロールのテストを行う」
***
『はぁー、どうしよう』
私はベタベタと張り付く水着を脱ぎながらため息をつく。
テストとか・・・。休もう。
「ははっ、そうだね。あんた本当に泳げないもんね」
『笑わないでよー、本気で泣きそうなんだから』
「ごめんごめん、・・・でもさーアンタいんじゃん」
『何が?』友人の発言がいまいち理解できない。
「えっとー滅茶苦茶イケメンの鮫柄のー・・・」
『あ!凛!』
ビシッと私は友人目掛けて指を指す。
そうだ、そうだ。凛ならー・・・。
そー、そー。と友人が頷く。
「教えてくれるんじゃない?良い友達がいて良かったじゃん」
『…でもなー』
しかし1つ問題がある。
「どうかした?」
『教えてくれるかな、結構めんどくさがり屋なんだよね・・・』
「まぁそれは聞かないと分かんないじゃん?一応聞くだけ聞いたら?」
『うん、放課後ちょっと鮫柄寄ってく』
***
「断る」
やっぱりねー・・・。
こうなるって分かってたさ・・・。
『凛お願い』再度頭を下げてみる。
しかし、返事はNO。
何しにココまで来たと言うのだ。
しかも案内された場所はプール、半裸の異性ばかりで居たたまれない気分だ。
そして、さっきから視線が痛い。
『な、何でよ・・・こんなに頼んでるのに』
「俺はそんな暇じゃねーよ。だから早く帰れ」
ケッと遂には私の顔すら見なくなった凛。
全く、なんて奴だ・・・。
『うぅ・・・、分かったよ』
仕方がない、諦めよう・・・。
本人がここまで嫌なら強要するのも何だか申し訳ない。
あと、この場から早く立ち去りたい。
あぁさようなら、私の成績。
私はクルリとUターンすると・・・。
「あ、あの僕で良かったら!」
『え』
目の前に立っていたのは知らない男の子だった。
「急にすみません。僕は似鳥愛一郎って言います」
「に、似鳥・・・。」顔を微妙ながら歪める凛。嫌いな子なのかな?
まぁいいや。
『教えてくれるって本当?』
「はい」
『じゃあお願いしようかな!』
「はい、勿論」
ありがとう、と私は似鳥くんの両手をつかみ。
ピョンピョコと跳ねる。
良かった!似鳥くん優しそうな子だし!ラッキー!
「ストップ」
凛が私と似鳥くんの手を叩く、主に私の手を。
『何でよ、ケチ凛』キッと私は凛を睨みつける。
似鳥くんも訳が分からずポカンとしている。