Free!:中編

□君が僕の前に現れた日
3ページ/4ページ




「似鳥、お前もう少しで試合だろ。一分でも時間があったら練習しろよ」




凛が冷たく似鳥くんに突き刺すように言う。
凛に言われて何も言えなくなってしまった似鳥くん。



「あ、え・・・」



『そっか、そうなんだ・・・。似鳥くん、ごめんね』



黙って俯く似鳥くん、あぁ何だか申し訳ない事をしてしまったと私の胸がキュッと締め付けられた。




「だ、だから。俺がコイツに教える」




『え』



「せ、先輩?」






何を言ってんの?と私と似鳥くんが同じ表情になる。
いやいやいや、アンタ嫌だって言ったんじゃん・・・。





『り、凛自分で何言ってるか分かる・・・?』



「・・・うっせーよ、教えて欲しいんだろ」



どっちなんだ?とめんどくさそうに顔をしかめる凛。





『お願いします』コクンと小さく頷く。



まぁ元々凛に教わるために来たから・・・まぁコレで良いのかな?
教えてくれるんなら最初からOKしてくれれば良かったのに。口にはしないけど。



「すみません、頑張ってください・・・」



『ううん!気にしないで!似鳥くんは試合頑張ってね!』




ペコペコと何度も腰を下げ、私に謝罪する似鳥くん。
謝るたび、私は大丈夫大丈夫と手を振る。
改めて似鳥くんが礼儀正しくて良い子なのだと実感する。




「似鳥、お前はもういけ。練習してろ」



「あ、はい。じゃあ・・・」ともう一度会釈してから似鳥くんは立ち去った。



『凛、あんな強く言わなくてもさ・・・』




似鳥くんは私の為にー・・・と続けようとするが凛はそれを許さなかった。


「名前、明日から鮫柄のプールに来い。どうせ夜なら誰も使わねーし。俺が顧問に言っとく」



『ちょっと・・・私の話を・・・』



「ちゃんと用意して来いよ、遅刻したらブン殴る。ちゃんと言ったからな?じゃあ帰れ」



シッシッと野良犬をはらうように、私に命令する。
・・・その前に何その連絡事項、私は子供か・・・。




「分かったか?」




でもココで何か文句を言ったら凛は先ほどの泳ぎの練習の約束を帳消しにしそうだ・・・。
ココは素直に命令に従おう。



『・・・はい』








あぁー・・・何かムカつく。
もっと他の人に頼めば良かった・・・。
ズンズンと足に怒りを込め出口へ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ