Free!:中編

□腹を見せ合う
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好きー・・・。







紛れも無く凛の声でそう聞こえた。
しっかりと自分の耳にも届いた。







好き







凛が私のことをー?









名前は顔を伏せ、棒立ち状態の凛に近づき凛の右手を掴む。


凛の腕はしっかりと鍛えられ自分のに比べると全然太かった。
男の子というより男性だ・・・、そう実感してしまうと頬がジンワリと熱を持った。







そっかー・・・私はー・・・。





















何だ何だ、と凛は顔を上げ名前を見つめる。





『嬉しい・・・』













そうなんだー・・・私は凛が好きなんだー・・・。














ふにゃりと緩みきった名前の笑顔。
目には大粒の涙が次から次へと溢れ出てくる。






「名前・・・?」






名前の言葉が信じれないと凛は声が震えた。






『私もねー・・・凛のこと好きなの・・・』







何故、今まで気づかなかったんだろう・・・。
この一週間ずっと傍に居たのに・・・、なんでこの気持ちを知らなかったんだろうー・・・。






教えてくれてありがとう、凛。







「でも・・・お前・・・真琴のこと・・・」



『いつの話してんのよ』それ遙も言ってた、と涙を拭いながら笑う名前。





「・・・好きって・・・お前・・・」



『うん、凛が好き』



「・・・ッ」



『・・・り・・・!』




凛は名前の肩に獣のように抱きつき、そのままベットに押し倒した。
名前の鎖骨あたりに顔を埋め凛はギュウと子供のように抱きしめた。



『り・・・凛・・・少し苦しい・・・』




ギブアップだといわんばかりに凛の肩甲骨あたりをベシベシと叩く。
しかし凛は一切応えず、名前の体を抱きしめる。




『り・・・凛・・・ちょ・・・』




「・・・・・・・・・・・・・・嘘じゃねぇよな」





鎖骨あたりに凛の吐息がかかり思わず名前は擽(くすぐ)ったそうに瞼を閉じ、コクコクと首だけを動かす。



すると凛は鎖骨から顔を剥がし、名前を見下ろす。






「離す気ねぇから」








ニッと顔をしわくちゃにし笑う凛。









それはまるで子供の頃の笑顔であった。










『離れる気も無いよ』







名前も同じような笑顔で返すと、凛の顔が名前に近づいてきた。




名前も次の行為を受け入れようと、ギュッと目を瞑る。


















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