短編

□銀さんに拾ってもらう話
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時刻は深夜1時、勿論辺は真っ暗で一寸先も闇であった。
普段ならこんな時間に出歩かないし、起きてもいない…。


何故ココにいるかって?
きっかけはとても些細な事だった、きっと誰しもが経験したことのあるものだと思う。

単純明快、親と喧嘩して家出中なのだ。






ー…寒い。




寒さから身を守るため体を縮こまるが、正直何も変わらない。
狭く汚い路地裏にただ一人、座り込む。








どうしよう、思った以上に寒いなぁ。
でも、今更帰るのも負けた気がするし…。




とりあえず今日一日は何があっても帰らない!!







『で、でも…流石に寒すぎ…』







フーと震える指先に生暖かい息をかけ、ギリギリまで足掻いてみる。
しかし、体の震えは止まなかった。





一体家を出て何時間経ったか…。
皆もう寝てるんだろうなぁ・・・。心配とかしてくれてるのかなぁ。












「こんな時間に何してんの?」










驚いた。と思うより先に目が動いた。
右を顔を向ければ、暗闇の中でも光り輝く銀髪の男性。








「つか寒くね?」




『・・・まぁ』



「家帰らねぇの?」






家出中なんです、そんな言葉が酷く子供っぽく思えて口には出せなかった。
気恥ずかしさからか、ふいっと男性から顔を背け俯く。



そしてしばらくしてから、男性の方からため息を吐く音が聞こえた。







「俺の家に来る?」















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