短編

□未来へのきっかけ
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『ライナー!“オモチ”って知ってる?』



「・・・?オモチ・・・?」




さぁ、サッパリだ。とライナ−は困り顔で口をへの字にする。



『知らなくて当然だよ!』



「はぁ?」




ちんぷんかんぷな事を言う彼女。
しかも何処か誇らしげに胸を張る。何言ってるんだコイツ・・・。





『東洋の食べ物なんだって!さっきアルミンに教えてもらったの!!』




●●●曰く、“オモチ”と言うのは白くてよく伸びて焼かなければ食べれない物・・・。
不思議な食べ物だ・・・。
そんな代物、壁の中をいくら探したって見つからないだろう・・・。



「東洋ってことは壁の外だな・・・」



俺の何気ない一言に、今まで屈託のない笑みを浮かべていた●●●は眉を八の字にする。
しまった、なんて事を言うんだ俺・・・。



やってしまった・・・と俺は心の中で自分を殴り倒した。




壁の外ー・・・それは人類の最大の敵・・・巨人達で溢れている世界。
正直、今の壁の外では立体機動装置無しでは出られないほど危険な区域。
簡単には行けない場所ー・・・。






『そ、そうだね・・・壁の、外だね・・・。』


「あ、あぁ・・・」





それ以上思いつく言葉が出てこなかった。
何か、何か言わなければー…。



●●●は『それじゃあ…』と立ち去ろうと俺に軽く手を振り背中を向けようとするー…。





何かー…。






「●●●…!」






何も考えなしで思わず声が出た、呼ばれたアイツは少し驚いたように俺を見つめるー…。



何かー…。






「俺がお前を外の世界に連れてってやるからな!!」







何とも単純で子供っぽい約束。



それでもアイツは嬉しそうに頷き、もう一度大きく俺に手をふる。













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