秘密の部屋
□新学期の荒くれ者
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ローズの自室で当たり前の様に構えるセブルスに違和感を持ったのは随分と後の事だった。
覚醒しきっていない脳では多すぎる情報を整理しきれていないのだ。
そこでローズは丁寧に一つずつ解明することにする。
まず質問しなくてもすむことから。
良い香りの正体はテーブルの上にあるサンドイッチとマフィンと紅茶だった。
夕食を採っていなかった為か、お腹がぐぅと鳴いた。
それを耳にしたセブルスは口角をあげると「座って食べなさい。」と一言いった。
『どうも、では遠慮なくっ♪』
とソファーに座り頂きますとサンドイッチを口にするが二つ目の疑問を抱く。
『と、言いますか…あれ?
ここって、私の部屋ですよね?』
「何を当たり前の事を言っている、
でなかったら誰の部屋なんだね?
そうか、まだ寝ぼけているのか…」
平然と紅茶を啜る彼を見る。
『漸く目も覚めてきたんですが、
そのお陰で色々と疑問が浮かびまして…私の部屋で合っているならどうしてセブルス教授がここで紅茶を足しなんで居るのですか?』
「君が夕食も採らずに眠っていたのでな、起きたら食べさせようと待っていたのだ。そこにある"無駄の塊"を見ながらな。」
まるで塵を見るかの様な目でロックハートの本達を睨む。
ローズは苦笑いをしながら、頭を回転させた。
『…ん?どうして私が夕食採ってないって分かったんです?』
「単純なことではないかね?
今晩大広間での夕食の席にいなかったからだ。」
あ〜なるほどと理解した。
そして最後、これは疑問ではなく確認なのだが…
『私の為にここでこれ(テーブルの上の美味な物達)を用意して待ってくれてたんですか?』
「さよう。」
目を伏せたまま紅茶を啜りながらぼそっとそう言ったセブルスはやはり優しいのだと実感した。
と、危うく忘れて聞きそびれる所だった事を"毒きのこ百科"片手に投げ掛ける。
『何でもっと早く
言ってくれなかったんですか?
お陰で偉い目に……』
口が滑った…という顔をしたのがバレたのか否か、
「ほう、偉い目に…
どういった目か全て詳しくお聞かせ願おうか?」
まぁ彼のことだし見逃すこともないだろうからきっとバレたんだろうと思いながら観念したようにローズは口を開いた。