番外編
□終わったんだ
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カチャッ
「…失礼しました」
コーチがいる部屋から出て、扉をきちんと閉めたのを確認した後、オレ——虹村修造は小さく息を吐いた。
“これでいい。これでよかったんだ”
心の中には、そんな思いで満ちている。
これからの事をうすく考えながら、ゆっくりと歩を進めた。
だから、分からなかった。
前から赤司が近付いていた事に。
「主将」
「……」
「主将……主将!!」
「…っ。あぁ、赤司か…」
「コーチの部屋に行っていたようですが、…何かありましたか」
「私用で少し行ってただけだ」
「そうですか…」
「…お前はオレかコーチに何か用でもあったのか?」
「いえ…特に」
「そうか。なら、戻るぞ」
「はい」
赤司と連れ立って体育館への道を歩く。
暫らくオレ達は無言だった。
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