影山さん家のお兄ちゃん
□フィールドでの再会
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――青葉城西との練習試合終盤
及川がサーブを打とうとしたとき、彼の背後から急に手が伸びボールに触れた。
「ちょっ…」
「徹〜、何お前だけ楽しんでんの?俺も混ぜろ」
「珍しいねぇ…やる気?」
「最近あんましやれてなかったからさ、少し欲求不満なんだよ」
そんな会話が聞こえてくる。あまりにもナチュラルに入ってきたからだろうか、審判も驚いている。
烏野の部員はいきなりの乱入者に困惑(※1,2年のみ)し、青葉城西の部員はどこか嬉しげだった。
その乱入者は青葉城西のジャージを着ていて、その上からフード付のパーカーを羽織っていた。
困惑している烏野の1,2年の部員のうち、影山だけが顔を歪めていた。
――まるでいやな予感がするとでも言うように。
「んー、岩ちゃん代わったって」
「俺かよ。…まァいい、その代わりちゃんとやれよ」
「おー」
乱入者―男はそう返事をし、パーカーとジャージを脱ぎ始める。
そこで影山は完全に凍った。
……見覚えの有りすぎるその姿に。
「か、影山?どうした?」
「大丈夫かおい…」
その声に脱いだジャージを畳んでいた男の手がピクリと反応する。
そして、恐る恐る振り返って……こちらもまたものの見事に硬直した。
「?ハル、おいハルどうした」
「ハル?ん…?……あぁトビオちゃんね」
「……そういう事か」
それからたっぷり10秒はたっただろうか。お互いの事を見つめながら言葉を吐く。
「なんでいるの飛雄…」
「どうしているんだよ、兄さん」
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