影山さん家のお兄ちゃん

□フィールドでの再会
1ページ/7ページ



――青葉城西との練習試合終盤




及川がサーブを打とうとしたとき、彼の背後から急に手が伸びボールに触れた。



「ちょっ…」

「徹〜、何お前だけ楽しんでんの?俺も混ぜろ」

「珍しいねぇ…やる気?」

「最近あんましやれてなかったからさ、少し欲求不満なんだよ」




そんな会話が聞こえてくる。あまりにもナチュラルに入ってきたからだろうか、審判も驚いている。

烏野の部員はいきなりの乱入者に困惑(※1,2年のみ)し、青葉城西の部員はどこか嬉しげだった。




その乱入者は青葉城西のジャージを着ていて、その上からフード付のパーカーを羽織っていた。

困惑している烏野の1,2年の部員のうち、影山だけが顔を歪めていた。








――まるでいやな予感がするとでも言うように。






「んー、岩ちゃん代わったって」

「俺かよ。…まァいい、その代わりちゃんとやれよ」

「おー」



乱入者―男はそう返事をし、パーカーとジャージを脱ぎ始める。

そこで影山は完全に凍った。



……見覚えの有りすぎるその姿に。



「か、影山?どうした?」

「大丈夫かおい…」


その声に脱いだジャージを畳んでいた男の手がピクリと反応する。

そして、恐る恐る振り返って……こちらもまたものの見事に硬直した。


「?ハル、おいハルどうした」

「ハル?ん…?……あぁトビオちゃんね」

「……そういう事か」











それからたっぷり10秒はたっただろうか。お互いの事を見つめながら言葉を吐く。


「なんでいるの飛雄…」

「どうしているんだよ、兄さん」









.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ