影山さん家のお兄ちゃん

□初恋しました。
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影山春斗、18歳。




初恋をしました。冗談じゃなくマジで。


その事を散々クズ川にからかわれて機嫌がクソ悪くなりました、はい。




…っと、そんな事は置いといて


初恋のお相手は小倉八尋さん。ちなみに岩ちゃんのクラスに在籍されてます。








……えーっと、これって何故恋に落ちたのかとかも言わないといけない系ですか?



(日本のどこかから;勿論!!!!)



…だそうなので、ちょこっとお話させていただきます。





……あ"ー、恥ずかしい。顔から火が出そうだけど頑張ります。













初めて彼女と会った…じゃなくて言葉を交わしたのは、ちょうど今から三ヶ月前の某塾の全国規模の模試のときで、帰り支度をしているときだった。



「あの、ハンカチ落とされましたよ」

「へ?…あっありがとうございます」

「いえ。たまたま見かけたものですから」



なんていうベタな、とは言わないでください。

それに、これ一発で落された訳じゃない、たぶん。



「でも、ありがとうございます。落としたまま帰ったら大変な事になっていたので…」

「そうなんですか。大切な物なんですね」

「えぇ。弟に誕生日に貰ったんです」

「いい弟さんをお持ちなんですね」

「はい。自慢の弟です」



みたいな会話をしながら、なお配布される解答を鞄に詰めた。そのとき、なんか会話を途切れさせたくないなと思った。






…アレ、この時点でもう半ば落ちかけていたのか?







「…今日の模試、どうでした?」

「うーん、そうですねぇ。まぁまぁくらいかなと」

「俺もそんな感じです…」



苦笑しながらそう言うと、小倉さんも苦笑を返しながら



「影山くんならそんな事はないでしょう?」

「俺の事知っているんですか」

「知っているも何も、影山くんは及川くんと並ぶ有名人ですから。何て言っても、先生方からの指名で選挙なしで生徒会長になられたでしょう?」



あまりにも俺が驚いていたらしく、小倉さんは苦笑を驚きを含んだ笑みに変えながら“知らなかったんですか”と続けた。



「…俺ってそんなに生徒会長として出てないと思うんですが」

「えぇまぁ」

「なら何故…」

「女の子達がイケメンを放っておくと思いますか?」

「…思いませんけど。てか俺ってそこまでイケメンではないと」

「客観的に見てイケメンですよ」

「そうなんですか……あ、だからバレンタインの日は机が大変な事に」



少しだけ納得した。でも、それだけで?と唸っていたら、小倉さんが追加して話してくれた。



「それだけじゃないですよ?生徒会長だけでなく、バレー部の主将もしていて、尚且つ勉強も学年首席で性格もよし。ますます女の子達が放っておく訳ないじゃないですか」

「…俺ってそんなに美化されているんですか」

「実像をそのまま捉えていると私は思いますけど」

「うーん。……あ、そろそろ出ませんか?」



ふと時計を見るともう十何分も時間が過ぎていた。二人して慌てて教室から出る。



「…小倉さんさえよければ、このまま別れる所まで話して行きませんか?」

「是非」



そう言いながらふわりと微笑んだ彼女を見て、心臓が静かにトクりと鼓動を打ったのが分かった。







(私の名前知ってらしたんですね)

(同級生ですからそれくらいは礼儀ってものですよ)







そのまま彼女と別れる所まで、色々な事を話した。さっきの続きとか勉強の事とか将来の事とか、趣味とか…本当に色々。



そして分かった事が一つ。なんと彼女と家が駅一つ分、だいたい数キロしか変わらなかった。

二人して目を丸くした。



それから、同学年なのに敬語で名字呼びもなんかアレだよねっていう話になって、お互いに『八尋ちゃん』『春斗くん』と呼ぶ事にした。勿論敬語なしで。

女の子とこんな会話したの潔子ちゃん以来。ついでに、メアドも交換した。つい先程まで話した事なかった、なんて分からないくらいに仲良くなった。






降りる駅が俺の方が一つ後なので、彼女に手を振って見送った。手を振り返してくれた。地味に嬉しかったです、はい。




それからは自分の時間。でも、頭の中に浮かんでくるのは彼女の事ばかりで…。


それに気をとられていた俺は思わず乗り過ごす所だった。


危ない危ないと思いながら電車を降りた。


それからもずっと頭の中に浮かんでくるのは彼女だけで。





さすがにアレって思った。





もしかして…そう思った瞬間、顔から火が出ているんじゃないかというくらい動揺した。頬を触ってみると、風で冷たくなっているはずなのに凄く熱くて…。









その夜はろくに眠れなかったのは覚えている。









…とまぁ、こんな感じです。


てか人のこんな話を聞いて、楽しいのか、はたはた疑問なんですが…。




そしてこの話を翌日徹に話したら、先程言ったように散々馬鹿にされ、からかわれたっていう。

今度からこういう話は岩ちゃんにしようと思いましたね、うん。




それからも交流は続き、今日に至っています。

最近、岩ちゃんに真顔でお前等もう付き合っちまえよと言われます。




……どうしましょうか、どうしましょうね、ホントに。




取り敢えず、いつ告白するかどうかについては、目下考え中です。




そして、岩ちゃんに、お前以外とチキンだなって言われました。

チキンで何が悪いって言い返したら呆れた顔をされました。泣きたくなりましたよ、心から。





いつ告白できるかは、分かんないですけど、なるべく早めに決断したいとは思ってます。




……うん、何時になるでしょうね?









…なんか居たたまれなくなってきたので、ここら辺で失礼しますね。



じゃあ、また。






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