影山さん家のお兄ちゃん

□終わりと始まり
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―in 烏野



「おー!!!」

「日本代表なだけあって、錚々たる面子だよなぁ……」

「ウシワカだ!!!」

「やっぱすげーんだな…」

「あれ?」

「どうした?」

「いや、ここ空欄じゃないですか。なんでかなって思って…」

「あ、それ俺も思ってた」

「……」

「影山?」

「……れ…」

「?」

「そ…れ、多分、兄さんが入るはずだった、とこ、です…」

「「「「え……」」」」

「通知が前きてて…」



沈黙が降りる。影山は、いつも強気な表情をしている影山は、泣きそうな表情をしていた。

そんな表情のまま、幾重も言葉を紡ぐ。



「兄さん、足が…ああなって、その、…出れないから」

「直前、だったし……間に合わなかったんだと、思います…」

「だから、空白にする以外、対処しようが…なかった…というか」

「兄さん、牛島さんと公式戦で一緒にバレーできるの、すっごく楽しみに、して…たんです…」

「でも、」



嗚咽を押し殺そうとする息遣いが、静かな空間に響く。

一向に部室から出て来ない彼等を鵜飼と武田が呼びにくるまで、この重苦しい沈黙は続いた。




(兄さんがあんなに楽しみにしているところ、久し振りに見た)
(でも)
(それが叶わなくなった今)
(兄さんは……)
 

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