宵の帝王
□第四夜 『吸血鬼の中の吸血鬼<後>』
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――理事長宅の浴室につく。
「着替えは私が持ってくるから、服を脱いでシャワーを浴びていろ。いいな?」
「…(コクン」
ガチャッ
零の部屋に着いた途端、私はずるずると座り込んだ。
…気持ち悪い。
優姫の血の匂いが服に体にこびりついている。
本当に何故だろう。どうしてここまで優姫血の匂いを拒絶する?
私は確かに今は人間だ。しかし本性は吸血鬼。
しかも優姫の血の匂いは私達吸血鬼にとって極上のはず…。
それを拒絶するなんてこと、まず有り得ないはずだ。
ワカラナイ…ワカラナイ…ナゼ……?
そうして数分程座り込んでいた。
だが、零が出てくるだろうしそろそろ行かなくてはと腰を上げ、タンスを開け零の着替えを手に持った。
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