今、再び―
□第0Q 『始まり』
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——―4月 誠凛高校
校門から校舎までの道、そこには、部活の勧誘をする生徒と新入生がひしめいていた。
——その様子がよく窺える屋上にて
「おーおー、やってるやってる。どの部も新入生をゲットしようと躍起になっているな」
と呑気に、自分は関係ないとでも言うかのような表情や仕草、言葉使いをする男子生徒が一人そこにいた。
「…この感じ、日本に帰ってきている感じがするな」
そして男は暫くの間、時折はっきり聞こえてくる日本語に耳を傾けていた。
「……そろそろ戻るか…………ん?んん?!」
疑問と驚きが半分半分に含まれた声が男から出る。
男は一瞬呆気にとられた顔をし、次いで呆れた顔をした。
「…おいおい、何で誠凛(ここ)に来たんだ。お前なら、他の行ける所、沢山あっただろうに…」
そして、くしゃっと前髪を掻き上げる。
男は、嬉しさと苦さが混ざり合ったような声で、見つけた者の名前を呟いた。
「テツヤ……」
呟いた名前は、男が中学の頃、部活で可愛がっていた後輩の名前であった。
男にとって嬉しくもあり、苦くもあるこの再会。
意図された再会なのかそうでないのかは、本人達の預かりの知らぬ所。
そんな中、物語は開幕を告げる鐘を鳴らす。
――全てを知るのは『神』ただ一人
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