今、再び―

□第0Q 『始まり』
1ページ/1ページ




——―4月 誠凛高校




校門から校舎までの道、そこには、部活の勧誘をする生徒と新入生がひしめいていた。







——その様子がよく窺える屋上にて




「おーおー、やってるやってる。どの部も新入生をゲットしようと躍起になっているな」




と呑気に、自分は関係ないとでも言うかのような表情や仕草、言葉使いをする男子生徒が一人そこにいた。




「…この感じ、日本に帰ってきている感じがするな」




そして男は暫くの間、時折はっきり聞こえてくる日本語に耳を傾けていた。










「……そろそろ戻るか…………ん?んん?!」




疑問と驚きが半分半分に含まれた声が男から出る。

男は一瞬呆気にとられた顔をし、次いで呆れた顔をした。







「…おいおい、何で誠凛(ここ)に来たんだ。お前なら、他の行ける所、沢山あっただろうに…」



そして、くしゃっと前髪を掻き上げる。

男は、嬉しさと苦さが混ざり合ったような声で、見つけた者の名前を呟いた。











「テツヤ……」







呟いた名前は、男が中学の頃、部活で可愛がっていた後輩の名前であった。









男にとって嬉しくもあり、苦くもあるこの再会。

意図された再会なのかそうでないのかは、本人達の預かりの知らぬ所。




そんな中、物語は開幕を告げる鐘を鳴らす。







――全てを知るのは『神』ただ一人








.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ