今、再び―

□第2Q 『どうしようか』
1ページ/3ページ





……さてどうしたものか。




真ん中分けできる程伸びた髪を弄りながら考える。







会社の業務や大学の勉強に集中するために、向こうではバスケの一切を絶った。



時折接待などで、バスケ観戦などには行ったがそれだけだ。



やりたいと、あの、ゴールを決めた時の感じを味わいたいとは幾度となく思った。



だが、一年という短い間でできるだけの事をするには、バスケなどやっている暇などなかった。気分転換としてもだ。









日本で仕事と高校生を両立できている今なら、できない事はないだろうとは思う。



ただ、機会が無いのだ。再びバスケに関わる。









……後の事を考えて、中学の時、雑誌の取材が来ても写真は絶対撮らせなかった。


ただ一回だけ、向こうの手違いで試合風景の中に写ってしまったことがある。だがそれくらいだ。


当時の用心深さが、今、俺がバスケをするのを阻んだ。








よくバスケ観戦をしていた者でないと、私だと分からないだろう。髪は当時に比べ結構伸びているし…。


それに、似ているとは思っても、その似ているという範疇から考えが抜ける事はないだろう。











何故か。




それは至極簡単な事。




三年前に主将であったはずの“夜月麗”ならば、高校2年でなく、高校生3年でなければおかしいからだ。











私が海外に行った事を知っているのは、可愛がっていた後輩達と、現在高校3年生である友人達のみ。


私とほとんど関わりがないここのバスケ部の2年達には分かりっこないだろう。








…さぁて、どうしようか?







.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ