今、再び―
□第3Q 『邂逅』
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「本当に久し振りだな、テツヤ…」
「はい。先輩もお変わりないようで。…相変わらずお忙しいのですか?」
「まぁな。だがあの頃と比べると格段に学校に来れるようになった。少しは仕事に慣れたという印だといいがな」
「先輩なら、それくらい軽い物でしょうしね」
「買いかぶり過ぎだぞテツヤ。俺はそんなに完璧じゃない」
「そんな事ないですよ」
「「「ちょっとストーップ!!!!」」」
……驚いた。いきなり何なんだ?
「……いきなり何ですか?」
「「「「黒子(君)、その人誰?!」」」」
「誰って。…僕の中学の頃の先輩ですけど?」
「先輩って……て事は帝光の?!じゃあもしかしなくてもバスケ部?!」
「えぇ。そうですよね、麗先輩?」
「…まぁそうだけど」
「試合には出て?」
「いるときには一応…」
「いるとき?」
「麗先輩は仕事でお忙しくされていて、海外と日本を行き来していらしたんです。なので、ちょうど此方にいらっしゃる時は試合に…」
「「仕事?」」
「…夜月財閥って、一度は聞いた事ありますよね?」
「日本屈指の大財閥だろ?…んでもって、確か世界で見ても、3本の指に入るくらいデカいとこだったよな」
「はい。麗先輩はそこのCEO(最高経営責任者)です」
「「「「…………………は?今、なんて…」」」」
「だから、C・E・Oです」
「「「「…マジで!?」」」」
途端、バスケ部の皆は騒ぎ出した。それを見て、麗先輩は僕に聞いた。
「……そんなに驚く事か?テツヤ」
「普通このくらいは驚くかと思いますが?」
「…アイツらはこんな反応しなかったからな」
そして先輩は“こういうものか”と呟いた。
一人うんうん頷く先輩を見て、何やら昔に戻ったような、そんな感じがした。
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