今、再び―
□第4Q 『説得』
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あの言葉を言った後、皆の顔には一様に、困惑とでもいうのだろうか……そんなようなもので満ちていた。
「今日の夜にでも電話を掛けてみます。早ければ明日の朝には良い知らせが届けられるかと」
「…自信たっぷりね」
「自慢ではないですが、麗先輩に本気でお願いした時、首を横に振られた事は一度もありません」
「………よし、任せたわよ黒子君」
「はい。……というか、試合の続きを始めなくてもいいんですか?」
「「「「「忘れてたー!!!!」」」」」
そして試合は再開され、終わり、解散となった。
――in マジバ
「しっかしアノ人何者だ?匂いが全くしねぇ」
「それは圧倒的に強いからですよ。能ある鷹は爪を隠すというでしょう?」
「あ゛−成程………って、なんでお前がここに居るんだよ!!」
…相変わらず煩い人だ。周りの事をもう少し考えろと言いたい。
「…前にも言ったでしょう。ここのバニラシェイクが好きだからです」
「……ほらよ」
「?」
「…それ一個分くらいは認めてやるよ、お前の事」
「……どうも」
もらったので、食べてみた。
…意外と美味しい。
「…なぁ、今俺とアノ人がやったらどうなる?」
「5割の力でも瞬殺されます」
「な?!……しかも本気出さずに瞬殺かよ!!」
「アノ人はただ、ただ、強いんです。……そうですね、赤司君が畏怖と尊崇で人を従わせるとしたら、先輩は人を、」
そこで言葉を切る。
“人を”というのは少々正しくないかと思い、助詞を変えて再び言った。
「…いえ、人が勝手に従うんです。皆、自発的に、何をされたわけもなく、何を言われたわけでもなく、自然に…」
「よくわかんねぇけど、取り敢えず凄いんだな」
凄いというか…その点においては、ただ純粋に、赤司君よりも怖いと思う。
だからこう言った。
「“凄い”では収まりきりませんよ」
「…そうか。そういや黒子、電話したのか?」
「いえ、今からです。……そろそろ収まっているでしょうし…」
鞄から携帯を取り出す。
そして、電話帳を開き、2年ぶりにその番号で手を止めた。
…番号を変えていなければ、これであっているはずだ。