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淫-vino Veritas


レンからの『宴』の誘いに、那月は緩やかな足取りで寮の廊下をすりぬける。
なんてわくわくすることだろう。

(こんど、一緒に真斗をいじめてみない?)
部屋に残したコイビトの翔にたいして、確かな罪悪感はあるものの。

ヒトは時に、この罪悪感を快楽の道具に利用する傾向がある。
那月は早まる呼吸をおさえるために、少しだけ指をかむ。
「…く」
苦しげに喉を鳴らしたかと思いきや、それは不気味な笑い声へ。

レンと真斗の部屋の前に立ち、呼び鈴を囁かせる。
中から声が聞こえるが、くぐもっている。
音を抑えて、ドアが開かれると、出てきたレンがすぐに手で導き、

「どうぞ。もうひとりのお姫さま…」

紳士的に迎えてくれた。
踏み入れたら最後、と閉められた扉のひびきは重かった。

ゴク。
那月は息をのんだ。


「はは、気に入ってくれたかな。俺が君のために真心こめて作った、本日のメインディッシュ」


言葉をうしなった那月の顔を、レンは愉快そうに覗きこむ。
那月の緑色の瞳をとらえるものはひとつしかない。

数歩先のベッド。
そのうえに、むきだしの卑猥な芸術品が、なんとも美しい格好で転がされているではないか。

「とっても……とっても美味しそうなお料理ですね……あまりに刺激的すぎて、前菜がないと、
胃袋さんがクラクラしちゃうかも」
「うれしいよ。そんなふうに言ってもらえて…」

うっとりとする那月に満足げに微笑み、レンはその視線をベッドの上にうつす。


「よろこべ、聖川」


悪魔のような声でわらった。
目をみはる雪肌のまぶしさが、それを何重にも縛る真っ赤なロープを、鮮やかに魅せている。


「神宮寺…これはどういうことだ…なぜ四ノ宮が…」


上半身を僅かに起こして、彼は弱々しい声を出す。
彼の両腕は後ろ手に縛られていた。
足は開かれた状態で固定されており、神聖な場所を包み隠さず展示している。

「あれえ。言ってなかったんですか。真斗くん、とてもびっくりしてますよ。あまりにびっくりして、
脱力しちゃってるみたいです」
「大丈夫。脱力しているのは痺れ薬を飲ませているからだよ。縛るあいだ暴れないようにね。
それに…こういう演出の方が盛り上がるだろう」
「脚本家みたいですね、レンくんは。それにしても、ふふ…真斗くん、勃起してる……元気なんですねえ。
普段の真斗くんからは想像もつきません…ああ、早く食べちゃいたい」

那月が舌を出して甘え顔をする。

「真斗くん、あのね。今日はレンくんと僕で、真斗くんを愛してあげるってお話になってるんですよ」
「な…に…?」
「愛してあげるっていうよりも、虐めてやる。が正しいけどね」

レンの笑いにますます悪意が込められる。
隣の那月の笑顔は、不気味に透き通っている。

「お姫さま、ご希望の前菜はどうしようか。……なんなら、俺でウォーミングアップする?」

女子をあつかうように那月の手に口づけ、指の付け根に舌を這わせ始める。

「ふふ…ダメ、ですよ。今夜は真斗くんがメインですし、真斗くん、嫉妬しちゃいますよ」
「それが楽しいと思うんだけどな」

ちらりと真斗を見やる。
ただでさえ薬の効果でぼうっとしている彼の思考は、眼前の異様な光景に対応しきれていない様子だった。

「那月…おいで」

レンが那月の手をとり、真斗の横たわるベッドへと移動する。
クラスメイトの痴態を間近で眺めると、那月は感悦の声をあげる。

「綺麗……こんな綺麗な肌をしてるなんてズルい…ねえ、もう食べていいでしょう?“レンくんの”真斗くん」

わざと、そう付けた。
那月は真斗の隣で横になり、足をからませ、両手で真斗の頬をつつんだ。

「っ、やめ、ろ…っ」
「怯えないで真斗くん……キスさせて」
「意味がわからないっ…説明、してくれ…神宮寺っ、四ノ宮っ」
「説明が必要?…僕はただ、あなたにキスがしたいだけ。ね、難しいこと考えないで」

困惑と恐怖にふるえる彼の唇を、否応なく、那月はゆっくりと奪った。
真斗は声を出して抵抗するも、それは那月のリビドーを刺激するだけだった。

「ん、おいしい…ねえ、真斗くん…あなたの唇が好きになりそう」
「んっ…んんんっ…や、…」
「逃げないで…僕ね…キス、これでもうまいほうなんですよ…?」

啄む。舌を無理矢理に吸い、唾液をこぼさせる。
時間をかけて、その口づけは深くなっていく。

「ん…はあ…はぁ…」
「ン…んふ、イイ…でしょう?…」
「や…だ…んっっんんっ」
「ふふ…意地っ張りさん」

拒絶からやがて妥協へ、声の変化を那月は見逃さず、真斗の口内を支配しつづけた。


「んー…なかなかイイんだけど、図として惜しいな」


言って、レンは何かを思いついたように、真斗とのキスに夢中になっている那月の背後にまわる。
さりげなく那月のズボンに手をかけ、下着の中に手を差し入れた。

「んんっ!…あ…や…?」

不意をつかれた下への愛撫に、那月は過剰に反応した。
顕著になった証明を愛しながら、レンはそのままズボンと下着を脱がさせ、

「そのままキスを続けろ」

低い声で命じ、那月から身ぐるみを全て剥がした。
素裸にさせられると、少しだけ身をかばうようにして、那月は真斗へ施し続ける。
「お姫さま同士が、イケない遊びをしているようだ」と、レンは食い入るように二人を見据える。

自分も裸になり、まだ熱を与えられていない真斗の下腹に顔を埋める。
すでに真斗の全身は、性魔に侵されたように痙攣していた。
レンは真斗の亀頭に口づけると、それだけで波打った恋人の腰の正直さを罵った。

それから真斗の本性を吸い出すかのごとく、ナニをしゃぶると、あっというまに完熟する。

「んーっ!」

付け根から先端まで辿られると、真斗はたまらずに腰を浮かせた。
シーツの上に、肌よりも白い雪が溶けて、水たまりを作っている。

「あーあ…こんなに出しちまって」
「ふふ、牛さんのミルクより美味しそう」

ふたりしてケラケラと笑う。
真斗は目をうつろにして、浅い呼吸を繰り返していた。
レンと那月は目配せし、那月は真斗を抱きかかえるようにし、

「真斗くん。仰向けになってくださいねえ」

足の拘束を解き、顔をシーツに押し付ける。
尻はレンに差し向けるようにした。

「もっと気持ちよくしてあげる…ね?」

仔猫をいつくしむように言うと、真斗の足の方にまわり、レンの肩によりそう。

「や、やめ…っ」

那月とレンの手に尻部を掴まれると、真斗は必死の声をあげる。
やめないよ。
レンの一声のあと、容赦なく2本の指が秘口に食い込んだ。

真斗が悲鳴をあげる。
顎を突きだして、えぐられる下半身を怒らせる。


「すごいね…シノミーと俺の指をあっさりと呑み込んじまった」
「ほんと…ねえ真斗くん、指ふやす?」

那月が冷たい笑みを張りつけて言う。
答えを待つあいだも、身をよじらせながらソレは深く深く埋められる。

「やっ、あああっっ!」

レンの指が深奥にたどり着き、真斗は絶叫した。
「じれったいな」と那月はすこしいらついて、人差し指にくわえて中指を突っ込んだ。

触発されたレンの中指も後に続いた。
4本の長く、肉付きの良い触手に責めいられ、真斗の口からは叫喚以外の音は流れない。

「あっ!あっ!あっ!」

5本。6本。
もはやその仕打ちは、人間に対するものではないようだ。

「那月、指を抜け。そろそろ俺の我慢の糸も切ってかまわないだろう?」

やや息を切らしたレンが迫る。

「指を抜いたら真斗の腕を解放して、真斗の下にくるんだ」
「?」
「お前も気持ちよくなりたいだろう?3人で楽しもう」

意図がつかめないのか、怪訝な眼差しを送ったあと、那月は言われた通りにし、レンは真斗を背後から抱き上げる。
那月は仰向けに寝転がり、放心状態の真斗と、その真斗に口付けるレンを見あげる。

「おふたりは仲良しさん、ですねえ…僕だけ仲間はずれみたい」
「そうだね…なんならおチビちゃんを誘いなよ。なーんてね」
「翔ちゃんはダメ」

ばっさりと切るような返しは、本気も混じっていた。


「俺と真斗は、ある意味キミたちの関係よりも、歪んでるけどね…」


レンは冷たく言い放つと、真斗を抱えたまま、那月の両脚を割る。

真斗のかわいく成長した肉芋を、未だ何も施されていない那月の菊座にあてがった。

真斗も那月も困惑する。
それとそれはあっさりと、互いを惹きつけ合い、呑み、呑まれていった。

「そんな……真斗くんのが…僕のナカに…」
「いい考えだろう。真斗を一番悦ばせ、かつ全員が愉しめる」

最高だろ、とレンは真斗の耳をかじりながら言うと、自らのそそり立った肉棒を、うしろから真斗に突き立てた。

「ああっ!」
「っあ」

真斗がその衝動に呻き、那月へと伝う。
いやいやと首を振る真斗に、レンはひたすら罵声を浴びせ、犯されている白い双丘をたたく。


「ほら、お前の前と後ろの、淫猥な場所を、二人で愛してやってるぜっ。どんな気分だ。言ってみろよ、真斗」


レンの太い一物と一寸もあけずに密着しながら、また那月の聖門に土足で踏入ながら、真斗は喘ぎ続ける。

「な、んで…どう、してお前はいつも…」
「どうして?」
「何を、望んでいるのか、わから、ないっ」
「まあ、お前にはわからないと思うよ」

レンは少しうわの空な時間を置き、再び真斗を抉った。

「真斗くんの、思ったより硬くて立派…もう限界かも」
「真斗とかわらず、お前さんもしょうもないね。掘られてるからってサボってないで、
真斗にちゃんと奉仕してあげてよ」
「…はあい」

拗ねた表情をする。
真斗のモノを故意に締めつけながら、指で乳首をこねくり回す。
びくんびくん、と真斗はいっそうに曲線を描いて跳ねる。

「神宮、寺っ」

切なげに、激しげに。つややかな声がひとつ、ふたつ。最後には、みっつ。
それは協奏曲のようになって、東から朝の兆しが見えるまで、ひっそりと奏でられていた。
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