liar the girl
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好きでこうなったわけじゃない、と。
夢オチを希望します! なんてありがちなセリフを言う暇も無いくらいに疲れ切って。
どうしてこうなってしまったのだろうと、自分の奇行を振り返ってみても、心当たりが多すぎて泣きたくなった。
疲れた、と心が泣いて。
血にまみれた小さな拳を握りしめて。
涙は出ない。だって忍びだから。
「忍びなんて馬鹿馬鹿しい。そんな戯言」
――なんて言えたら、どんなに楽だっただろう。
こんなに困ることもなかったのに。
こんなに苦しむこともなかったのに。
こんなに辛いこともなかったのに。
こんなに嗚咽を押し殺すこともなかったのに。
いつの間にかへらりと浮かべた作り笑顔が標準装備となってしまっていて。
――「ねぇ、何で笑わないの? 君」
――「いやいや、笑ってますよ? 本心から」
蹲って嗚咽を押し殺してる『私』を笑ってるんですよ。
馬鹿馬鹿しい。
そんなに苦しいなら、死んじまえってね。