逃避行少女

□番外編
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 暇だ。




 ごろん、と私はベッド上を転がった。






 暇だ。







(そうだ、セントラルタウンへ行こう!)









 何処か聞き覚えのあるセリフを引用。











 これは余談である、が。




 実は私、ダブルなのである。


 私のアリスは実に在り来たりだが。







 私は目立たぬよう、地味ーに過ごすことをモットーとしている。




 だが、しかしそれは逆に言えば。



 所謂。




(勤勉で授業態度良しの真面目な生徒)





 という評価になるらしい。



 だって授業中に他の生徒みたいに騒いでたら、目立つじゃん。




 嫌だよそんなの。








(――とまぁ、そんな感じで)




 主に――副担任やその他の先生方の支持を得ているらしい。



 とはいえ、止めるでもなく、傍観に徹しているだけなのだが。






 そして――成績。




 見た目は子供、中身は大人―――なんてのがリアルにある私。


 


(いや流石に小学生レベルが解けなかったらヤバいだろ)



 流石にそこまで馬鹿じゃない。



 時たま、『本当にこれ小学生レベルか?』というのはあるものの。






(―――けど、まぁ)




 かといって、点数を取りすぎてはいけないのである。




(目立つじゃん――そんなことしたら)





 お断りだ。



 
 私は――あくまで。




 ひっそりと。



 地味ーに。



 平穏に。



 傍観に徹するような。



 暮らし――を望んでいるのである。





 アリス学園に入っている時点で無理だろう――というのは知らぬふりで。






(地味に暮らしたい。―――原作が始まるまでは)





 日向君と乃木君が転校してきて早一年。





―――たぶん、原作が始まるまであと一年。




(せめて、それまでは)





 ひっそりと影に潜んで、ちょっとくらい――。





(学園生活をエンジョイしたっていいよね)







 勤勉でかつ真面目な生活をして、成績も平均か――それよりちょっと上を保持し――二年。




 私の胸襟には、二つの星が輝いている。










(心読みくーん、暇ー?)


(暇だよー。どうしたのー?)


(本当? じゃ、セントラルタウンいこーよー。お小遣いはいったでしょ?)


(いーよー。わーい、じゃあ行こーっ)
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