liar the girl

□6.
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 ずうん、とした重い空気。
 
 どうにかなんないのか、これ。仮にも娘と父親が一緒にいる空気では無いぞ。


 まぁ、威厳は大事だけど。




「……アユ」


「はい」



 とりあえず、返事をしておく。



 暫しの沈黙を持ってから、フガクは口を開いた。




「お前にして欲しいことがあってな」



「はい。何なりと」




 まじっすか。こんな幼気な少女に。


 アホか。そのオタマジャクシは節穴か。





 表面上は従いながらも、実質怪訝な視線をぶつけていると、フガクはほんの少しだけ、口元を緩めた。




「お前が、忍術書で勉学に励んでいることも知っている。日向の坊主と修行をしていることも」



「……ご存じでしたか」







 忍術書の件はまだしも、修行の件はばっちりばれているとは思わなかった。


 何だ、ちゃんと監視の忍びは振り払ったはずなのに。





「……日向の坊主というのは気に食わんが……。それもお前がいずれそ奴を超えればよいだけのこと」




「……」


 うわぁ、期待が重いよ。プレッシャー半端ねぇ!!

 じろり、と品定めするかのようなフガクの視線に耐えつつ、アユは神妙な表情で沈黙を貫く。

 それを肯定ととったのか、フガクは満足げに大仰として頷いた。



「その踏み台とする為にも、任務を命じようかと思ってな。丁度良いだろう」


「ありがとうございます。父様」



 しかし内心は罵倒警報発令中。





 くそったれこの糞親父。私はちゃんと自分の力量ぐらい弁えてるんだよそんなほいほい他里にいけると思うな死んだらどうしてくれる。私の計画がパーだろうが。





 内心乙女に有るまじき舌打ちをしまくりながらも、にこりと笑みをこぼす。



 フガクは使用人に合図すると、一枚の紙を持ってこさせる。



「砂隠れの里にいる鍛冶屋から特注のクナイを預かってきて欲しい。これを渡せば、交換してくれるだろう」



「鍛冶屋……ですか?」



「ああ。名はゴギョウ。里の外れに住んでいる」






 来たぞ砂漠越え。



 よほどこの父親は娘が嫌いに違いない。五歳児の娘に砂漠越えとかふざけんな。



 ていうかあれか。砂隠れの里というと。








 =我愛羅に会える。






 よし。






「畏まりました。自力を尽くし、遂行させていただきます」



「ああ、期待しているぞ。何、案ずるな。護衛は付ける」



「ありがとうございます」




 まぁ、我愛羅に会えるんなら。


 だってあれでしょ? 今の我愛羅は多分可愛い我愛羅でしょうし。夜叉丸云々はまだだよね? だよね?








 んじゃ、ちょっくら頑張ってみようか。おー。









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