逃避行少女
□逃避行少女
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≪4組の個性と多彩な技のぶつかりあいに多いに期待します!!≫
とかなんとか。
こうして始まってしまった文化祭。
ステージにプリンシバルの人達が登場し―――、
(―――ん)
(何か――今)
とある――青年。
(目が合った……ような)
勘違いであることを、望みます。
(あの子が―――、噂の)
*
「林檎先行っとったんかー! 何で誘ってくれへんかったん!?」
「だって佐倉さん、寝坊してて居なかったし」
私がさらりと言い放つと、佐倉さんはうぐっ、と言葉に詰まった。
これ正論。自業自得ってヤツだよね。
「おー、チビ共来たか」
「翼先輩恰好いいー!!」
魔人の衣装に着替えた安藤先輩のご登場。
安藤先輩は、こう――、元の顔立ちが良いから――。
「何でも似合いますよね」
「真顔で言うなよ照れるだろ……」
「あ、すみません口に出してました?」
意外にもウブなことに、ほんの少し頬を赤らめた安藤先輩。
不覚にもきゅんと来たのは仕方がないだろう。
だって私、精神年齢からいえば年上だし。
「おーい、チビ共。お前らも着替えるぞー」
「美咲先輩、綺麗っ!」
―――この学校って基本美男美女が集まってるのか?
え、何。それとも二次元ならではクオリティー? チート? 必然なわけですか?
それとも才色兼備眉目秀麗に限りアリス持ち……とかいう裏設定!?
(となると私場違いじゃん……。)
(はっ……! ま、まさかトリップ特典―――)
(いや、トリップじゃないけど―――)
「美咲、何故か林檎がキャラ崩れるぐらい悩み始めたんだが」
「そっとしといてやれ。―――つーか、着替えるぞ!」
(私もいつのまにか)
(この空気に順応してしまっている――)
(それに気づかない)
(それは――幸せなことなのか、それとも――)