逃避行少女

□逃避行少女
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『すみません私のアリスじゃ役立たずな訳ですんで宣伝行ってきます!』



 あでゅー!





 そう半ば叫びつつ、特力を脱出し逃げおおせた私。

 影あやつりで捕獲しようと試みた安藤先輩にドロップキックをかました所為か、若干足首が痛いです。


……捻ったか?




(……うわ恥ずっ!)






 とりあえず、出来るだけ遠くへと、逃亡劇を繰り広げます。






















「ふぁ……。この辺で……」



 いいだろう、と踏んで、人込みから外れた森の方へと逃亡。


 木の影に座り込み、ふぅ、と一息付く。



 運が良いのか悪いのか、このコスプレ――もいいところのこの恰好だが、ほとんど人に遭遇しなかった。

 まぁ、裏道を通った所為でもあるが。





(いやいや――見られたくねぇよ)



 
 特に日向君とか。

 嫌味ったらしく蔑まれること間違いなしだ。





(さて――どうしようか)



 (心読み君の所でも行こうかな)





 あの可愛らしい顔でも拝みにいこうか。



 と、腰を上げかけたところで、ふと自分を見下ろす。






 ヘソ出しミニスカアラビアン。





 

 腰を下ろした。





(わざわざ人込みに進んで行ってどうするんだ――)





 ごめんね、心読み君。




 心の中で謝罪をしつつ、逆光で薄暗い木を見上げた。



















































「少し――いいかな」




 時宮林檎ちゃん。




 逆光で見えにくいシルエット。


 だが、それが動き、その顔を映し出した時―――。







(あーあ……)



 (やっぱり私)






 浮かべていた笑みが、ふにゃりと崩れる。








「な――んで、こんな、ところに、いらっしゃる、んですか」






(平穏が、平和が、安心が―――)




 (築き掛けてしまっていた――許容し始めてしまっていた)





(建前だけの感情が――ぼろぼろと)




 崩れてく。








「―――櫻野総代表?」









(震えた手に気付かないフリをして――騙した)





(やっぱり、私は―――)









 (物語は、止まらない)
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