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□星はひかる、君はかがやく、僕ははしる
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銀さんは、とある日を境になんだか少し真面目になった
まぁ真面目になったといってもほんの少し
瓶に入った一欠けらの砂糖の粒くらいだ(あれ。これは小さすぎたかな)
そんな「とある日」から今日でちょうど一年。
僕は17になった。
相変わらず銀さんはちゃらんぽらんだけど、時々窓からどこか遠くを眺めていた
この前神楽ちゃんが「銀ちゃん何見てるの?」と聞いたら
「んー?大事な奴」
と言って夜空を指差した
神楽ちゃんは何を言ってるかよく分らなかったみたいだけど、銀さんはそれでも満足そうな顔をしていた
そして今日
銀さんは夜、「出掛ける」と言い出した
「新八、ガスと電気頼むわ
神楽も適当に寝かせてお前も適当に帰っていいから」
「あ、はい」
僕は思い切って聞いてみた
「銀さん、どこ行くんですか?」
「ちょっと会わなきゃいけない奴がいてな」
「へぇ…ってあれ?バイクの鍵は?」
「いや、歩いていこうと思って」
「珍しいですね。出掛けるとなると必ずと言っていいほどバイクなのに」
「そういう気分なの」
「夜にならないと会えないんだわ
ソイツ」
そう言って銀さんは切なそうに、でも幸せそうに笑った
星はひかる、君はかがやく、僕ははしる
(いってらっしゃい)
(題名「ロレンシー-Lorensci」様より)