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「ご、ごめん。待っててくれて…」
「これ、使いなよ」
「え?」
きり丸君が何かを差し出した。
濡れた手拭いだ。…何故。
受け取ると、それはとても冷たかった。
「…ありがとう」
「お姉さん、目、腫れてる」
「え!」
…え!?
「泣いたね」
きり丸君が、静かに言った。
うわぁ、気が付いてたのか。
「あー…うん。」
「新野先生に聞いたら、冷えた手拭いで冷やすといいって言ってたからもらってきた。それと、新野先生が後で保健室に来てください、だって。足の具合を見たいからって。」
「分かった。ありがとう」
手拭いを目に当てると気持ち良かった。
わざわざ取りに行ってくれたんだ。気が利く子だ。
「…お姉さん。今日は俺ら、授業があるからずっとお姉さんのそばにいることは出来ないんだ」
「あ、はい」
「だから今からお姉さんを食堂に連れて行くけど、後はブラブラしといて。」
「うん」
「って、土井先生が言っといてってさ」
それだけ言うと、きり丸君は歩き始めた。
「あ、待ってよ」と言うと、軽くこっちを見て「早く」と言われてしまった。
…顔洗いたいなんて、言えなくなった。仕方ない、この手拭いで拭くか。