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まだ夢の中かな、私。

起きてすぐ、寝ぼけた頭で思ったのはそれだった。何故って、知らない部屋、しかも和室にいたから。
あれ、とか、おや、とか言ってみても、ちっとも頭が冴えてこない。私、なんでこんな所にいるのかなぁ?

ふわふわした頭で何を考えても答えが出なくて、ぼーっとしてると扉が開いた。
…お母さんじゃない。誰だ。

「…きり丸君?」

喉がイガイガした。ん…けほ。

「そう、俺きり丸」
「ここ…」
「忍術学園」

冷たい空気が肌に刺さった。寒い。きり丸君、扉閉めてくれないかな。
忍術学園って、寒いんだ。そういえばまだ春休みだって言ってたもんなぁ。
山の中にあるから、朝はまだ寒いんだ。
昨日、乱太郎君が言って……

「あ、そうだ」

夢じゃないんだった。
脳みそがぐらりと揺れる。着ているのがパジャマじゃない。私の部屋じゃない。何を寝ぼけていたんだろう。そうだった。これ、夢なんかじゃないんだった。

あれ、おかしい。何故だか少しも悲しくない。そっと胸に手を当てる。そうだ、昨日あれほど、私泣いたじゃないか。帰れないって、悲しくて泣いたんだ。
…大丈夫。今日は、悲しくない。


「昨日、運んでくれたよね」
「そうだよ」

きり丸君達には、本当に感謝だ。昨日ここまで連れてきてもらえなかったら私、きっと今お布団の上になんていれてない。
足の指をニギニギしてみた。うん、大丈夫そう。もう、自分で歩けそう。一晩寝たら、痺れもスッカリとれた。夢も見ないほどグッスリ寝たんだ。疲れも取れてるに違いない。

「あ」

そういえば。

「おはようございます」
「…おはよう」

挨拶まだだったよなーって、思ったから言ったんだけど。きり丸君が変な顔をした。…もしかしたら、もうおはようは言い終わってるのかもしれない。
私を起こしに来てくれたのはきり丸君だったんだ。すでに、寝ぼけた私が挨拶ぐらいしてても変じゃないや、うん。

さあ、朝起きて、部屋にきり丸君がいるということは…何?
え、どうしたらいい?

「私、何したらいい?」

そんな時は聞くのに限る。

「とりあえず、着替えたら?」

ちょっと小馬鹿にされた気がしないでもない。けど、確かに着替えなきゃ何もできないよね。

「…」

うん、着替えなきゃなあとは思ったんだけど。ジャージに着替えるか借りた着物に着替えるか少し迷った。
…ジャージを着てないともし急に向こうに帰れた時に困るよなぁ、と思ったりしたから。
今の状況を悲観してるわけではないけれど、やっぱり早く帰りたい。

私としては、できるだけジャージにすがっていたかったけど、きり丸君が着物をすすめたので、やはり着物に着替えることになった。

着替えるには、そこの扉閉めて欲しいんだけどなぁと、思った時にはすでにきり丸君は部屋にいなかった。おお、いつの間に。着物の着方がまだ不安だから、聞こうと思っていたのに…まあ、なんとかなるか。仕方ない。ぼーっとしててもどうしようもないな。
私はいそいそと脱ぎかけの寝間着をとってしまって、昨日借りた薄ピンクの着物に着替えた。

まあ、どうにか着物の方はなんとかなったわけだけれど、このあと食堂に行かなきゃいけないらしいし目がシバシバするしで顔を洗いたかった。確か昨日、案内してもらった時に、井戸の場所も教えてもらったのだけど…1人で行ける自信がない。

きり丸君がいてくれればなぁ、と勝手なことを思う。
起こしに来てくれただけでありがたいのに、ずっとひっついて案内してほしいだなんて言う資格私にはないね。

まあ、出てみなきゃ分かんないや
そう思って、おもいっきり引き戸を引いた。

ガッ…

あれ…扉の建て付けの悪いことといったら。夕べは簡単に開いたのに。

何度かガタガタしながら横に動かすと、やっとこさ廊下に出ることができた。
もちろん、扉を開けたら元の世界。ってことにはならなかったんだけど。

「あ」

なんと、きり丸君が外で待っていてくれてた。
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