歴代の拍手たち。

□三代目拍手小話。
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未来からの来訪者、トランクスは、今日もまた、カプセルコーポを訪れていた。
母親であるブルマに会うことも目的の一つだが、この世界に訪れる大半の要因は。
異世界からやって来た、一人の少女に会う為であった。

類を見ない、個性的な彼女に圧倒され、始めこそ驚いたトランクスであったが。
そんな彼女に、いつしか心惹かれてしまったのだ。
見慣れた彼女の部屋の前で足を止め、呼びベルに手を伸ばす―――が。



「んっ…ぁ…!」



微かに聞こえた彼女の声に、トランクスは伸ばしかけた手をピタリと止める。
耳に届いたその声は、物音に掻き消されてしまう程、酷く小さなもので。
気の所為かと思ったものの、トランクスはその場に佇み、暫し沈黙する。



「ブロリ、もっと優しく…!」

「、気持ちいいか…?」

「ひゃ…!」



微かに部屋から漏れる声に、トランクスは自分の耳を疑った。
間違えるはずもない。自分が耳にした二つの声は、想いを寄せる彼女のものと、ブロリーのそれなのだ。

二人の関係を知り、思考回路が停止する。
室内から漏れる彼女の声に、トランクスの頬は次第に熱を帯び始めた。



「そこで何をしている。」



呼びベルに手を伸ばしかけたままの体勢で、部屋の前に立ち尽くすトランクスに、声がかけられる。
その声でハッと我に返ったトランクスが、声の主へと目を向ければ。
悠然とした足取りで此方に足を進める、パラガスの姿があった。

固まったまま微動だにしないトランクスを訝しげに見やりながらも。
パラガスはドアの前で彼女に声をかけると、ドアを開けて室内へと足を踏み入れる。
開け放たれたドアから、恐る恐る室内を覗き込めば。
双眸に映し出された光景に、トランクスは我が目を疑った。



「あれ、パラパパにみらンクス。どったの?」

「いや、大した用事ではない。…具合が悪いのか?」

「いやー、最近肩凝りと腰痛が酷くてね。ブロリンにマッサージをお願いしたんだよ。
 パラパパ知ってる?ブロリーって意外とマッサージ上手いんだよ。
 あとはもうちょい加減を覚えてくれればパーペキ!」

「…加減したつもりだが。」

「うん、分かってる。まぁ、その辺は追々に知っていけばいいと思うよ。」



のほほんと会話を交わす三人に、開いた口が塞がらない。
ベッドに俯せになっていた彼女は、のそのそと上体を起こすと。
ぽかんと此方を見つめるトランクスに視線を定め、にっこりと笑いかけた。



「…で、みらンクスは何を想像してたのかな?」



随分顔が赤いみたいだけど。

ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる彼女に指摘された瞬間。
トランクスは一気に顔を真っ赤に染め、視線を足元に落とした。
その様子を、可笑しそうに見つめる少女と、不思議そうに傍観するブロリー。
そして、それとなく事情を察したパラガスが、同情の眼差しを向けたのだった。








あとがき
一度は書いてみたかった勘違いネタ。
最近、肩凝りに悩まされている為、この話が出来ました。←


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