歴代の拍手たち。

□五代目
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オートボットと和平協定を結び、地球に移住して暫く。
地球の環境にも順応しつつあるこの日。
ヒューマンモードを使用し、彼女とスコルポノックを連れて、今日も街を訪れていた。



「あれ、何?」

「ハンバーガーです…
 丸いパンにハンバーグステーキを挟んだ食べ物で、またの名をジャンクフードと言います…」

「ジャンクフード?」

「ジャンクフードとは、高カロリーでも栄養価の低い食べ物の事を指します…」

「何でも知ってる、物知り!」

「ありがとう、御座います…」



街にある物全てが珍しいのだろう。
キラキラと大きな双眸を輝かせながら彼女の手を引き、先へ進むスコルポノック。
そして、そんな二人を見守りつつ、その後ろを自分が続くのだ。
最早それは、日課となりつつある光景だった。



「ジェラート、何?」

「ジェラートはイタリア風のシャーベットの事です…」

「シャーベット?」

「シャーベットは―――」



人間が見れば、二人は姉弟のように映るのだろうか。
それは、オールスパークを巡る争いが続いていれば、決して目にする事が出来なかったもので。
オートボットのように、自ら率先して人間を助けようだなどとは思わないが。

少なからず―――今の自分には、守りたいものがある。



「ブラックアウト、」



二人が姉弟ならば、差し詰め自分は保護者だろうか。
ごく自然に彼女と手を繋ぐ、スコルポノックの無邪気さを羨むと同時に、少しばかりの嫉妬を覚えれば。
右手に感じる、温かな温もり。
いつの間にか直ぐ傍に佇んでいた彼女は、じっと自分を見上げていた。



「具合、悪い…?」

「いや…すまない、少し考え事をしていた。」

「・・・・・・・退屈、ですか…?」



不安そうに見上げる彼女に、チリッとスパークが焦がれる。
心配ないと言う意味を込め、空いている一方の手で、彼女の頭をそっと撫でてやれば。
その意図を察したのか、こくりと頷き、繋いだ手はそのままに歩き出す。
彼女のもう片方の手には、スコルポノックの小さな手が繋がれていた。

足元に伸びる影を見て、不覚にも―――



「家族、みたい…」



そう、思ってしまった。
彼女が呟いた言葉に、スコルポノックは嬉しそうに頷き、此方へ顔を向け。



「パパ、ママ!」



満面の笑みを浮かべて言い放つスコルポノックに続き。
珍しく便乗した彼女が「ブラックアウトが、旦那さん…」なんて、心なしか嬉しそうに言うものだから。
暫く顔を、上げられそうにない。








ホントはスコちゃんを真ん中にしたかったけど、お題の関係で出来んかったorz
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