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□黄笠小話(1月分)
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「結婚しましょ。」
「寝言は寝て言え。」

「・・・もー何なんスか!オレが勇気を振り絞って言った一言にその仕打ちひどくないっスか!?」
「何が勇気を出してだよ、それ昨日も言ってただろうが。」
「えぇ〜だってー」

ほっぺを膨らまして拗ねる黄瀬を無視して俺は作業に戻る。

「幸男さ〜ん。」
「重い、邪魔だ、ひっつくな。」
「ひどっ。」

よよよと泣く真似をするこいつは俺と同じように歳をとっているはずなのにあの頃と変わらず、と言うか年を重ねるごとに年々色気もプラスされて正直言ってかなり良い男のままだ。
そんな黄瀬を横目にイケメンはどんだけ歳食ってもイケメンなんだなと感心した。

「オレはただ幸男さんと結婚して一緒に暮らしたいだけなのに・・・」

頭の中身はかなり残念にできてしまったようだがな。

「何なんだよお前。この前までそんなこと一言も言ってなかったじゃねぇか。今じゃ不満だってのかよ。」
「いやね、不満とかそういうことじゃないんスけど〜。」
「じゃあなんだよ。」

俺の問いかけに対してあーだとかうーだとか頭をひねるこいつは非常に可愛らしい、とか思うあたり俺もこいつと過ごす中でどんどん毒されていったんだなと実感する。
そんな風に俺が考えてた間に奴の中で結論が出たみたいで犬みたいな(本人に言ったら犬じゃなくてオオカミっス!と噛み付かれたが)輝かんばかりの笑顔で言った。

結婚したいお年頃なんス!

うん。とりあえず俺も輝かんばかりの綺麗な笑顔でシバいてやった。

2014/1/1
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