プリムラ

□8.予期せぬ再会
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災厄の4日目、水曜日。
本日は昨日ヤマトが言った通り本局から医者を呼んで健康診断…の予定なのだが今ツカサは悪魔を従えて外にいる。
というのも朝から敵が襲来し、複数いるため彼女も出撃しているのだ。

(弱そう…)

アプリで確認した呼称はメグレズ。
しかし目の前にいるのはドゥベの下部のようにも見えた。
しかしもう一度確認しても呼称はメグレズである。

「ラクサーシャ、バイブ・カハ、行くよ」

悪魔に呼びかけてツカサたちは一気にメグレズへと畳み掛け攻撃する。
するとあっさり霧散し、手ごたえの無さが逆に違和感を感じさせた、がとりあえずヤマトに報告することにした。

「ヤマト様、終了しました」
『ご苦労、どうだ』
「手ごたえの無さに違和感を感じます」
『そうか、お前もか。…今は戻れ。健康診断がある』
「はい」




そして健康診断である。

「久しぶりね、ツカサちゃん。はい胸見せて」
「オトメ様」

ジプス大阪本局の医者、柳谷乙女がニコニコ笑っている。
そして聴診器をツカサの身体に当てると心音を聞いていた。

「はい、異常無し。次は口開けてね…これも異常無し、と。至って健康体ね」
「そうでないと勤まりませんから」
「そうね。これでおしまい。ツカサちゃんで最後ね」

そしてツカサが服を着替えに戻ると微妙な空気が漂っていた。
ヒナコ、イオ、アイリがフミを見て固まっている。
正確に言うとフミの胸をみて固まっている。

「あ、あの…?」
「よっ、ツカサ」

振り返ったフミを見てツカサは納得した。
フミは胸にブラを付けずにタオルを救命胴衣のようにして胸を隠している。
加えて彼女の胸は大きい。確かに固まりたくもなるだろう。

「ツカサちゃん…着痩せするタイプなん?」

ツカサを見て我に返ったのか、ヒナコが今度はツカサに近寄ってきた。
そして腹や腰をべたべたと触る。

「あ、あの?」
「うわ、ちゃんと引き締まってるやん。しかもスタイルのバランスええし」
「あの、くすぐったい…」
「え、くすぐり弱いん?」

ニヤリ、と笑ったヒナコに思わず冷や汗をかいたツカサだったが、襲撃は背後だった。

「食らえー!」
「ちょっ、アイリ様、やめ、あははは!」
「よっしゃバン子、加勢するで!」
「2人とも、やめた方が…」
「おー、姦しいねぇ」

イオがおろおろし、フミが微笑む中、マコトはどうしていいのかわからないという顔をした。

「こらこら、早く服着ないと風邪引いちゃうわよ?」

オトメが戻ってきて苦笑する。
やっと解放されたツカサは息絶え絶えで…一瞬で雰囲気を冷たくした。
女性陣が何事かと心配すると、ツカサが手元にあったボールペンを物陰に向かって投げた。

かつっ!といい音がして壁に刺さった。

「どうしたん?」
「何か怪しい気配がして…」
「もしかして覗き!?」

そうアイリが言った瞬間ドタバタという音がする。

「何者だ!」

ツカサも後を追おうとして服を着ていないことに気が付いた。
急いで着替えてマコトの後を追いかけると、突如地震が起こる。

「!?」
そこでツカサの携帯が鳴った。見るとヤマトからだ。
「もしもし?」
『ツカサか。メグレズが再び出現した』
「了解しました、直ちに急行します」




そしてツカサが現場に急行すると、そこにメグレズはおらず、代わりに謎の人物がいた。

「…!」

白い髪に独特の恰好。そして何より地面から微妙に浮いている。
謎の人物では無い。ツカサはその人物を知っている。人でない者であることも何となく知っている。

「憂う、者…?」
「久しぶりだね、明星司…だったかな。相変わらずのようだ」
「…何故」
「可能性の子、輝く者を見つけてね。…峰津院大和は元気かい?」
「おかげさまで」

ツカサが警戒を解かずにいると憂う者は苦笑した。

「本当に相変わらずだ。大丈夫、今は君と敵対する予定はないよ。それではまた」

そう言って憂う者は宙に浮いて去って行った。



「…どうして」

ツカサが呆然としていると彼女の携帯が鳴る。
「はい」
『本局で緊急対策会議を行う。今から行くぞ』
「了解しました」

ツカサは携帯を切って、新橋へと急ぐことした。




―2013.6.5
 

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