ムーサの微笑み

□4.一部のみ有用
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その日の自主練後、緑間はいつものように明日のおは朝占いのラッキーアイテムを調べていた。
蟹座のページに来て、明日のラッキーアイテムを確認する。

「む…」
「どったの、真ちゃん」

高尾が察したのか緑間の方へ寄る。
夏妃も気になったのかボールを入れた後同じように寄ってきた。

「明日のラッキーアイテムは水墨画なのだよ」
「…それは、マニアックというかなんというか」
「美術の教科書の写真じゃだめなの?ほら、待ち受けにするといいことがある画像みたいに…」

夏妃の提案は緑間の冷たい視線に却下された。

「…睨まなくてもいいのに」
「本物でなければだめに決まってるだろう、馬鹿め」

いい案だと思ったんだけど、と夏妃が零す。

「んー、明日中に見つからないとだめなんだよね?」
「ああ」
「しっかし水墨画ね…」

難しいな、と高尾が言った。
夏妃は何か考えているらしく、腕を組んでいた。
結局、どうすればいいか分からずに緑間も骨董品屋にあるかもしれない…と呟いたのだ。



次の日。


「あ、緑間いたー!」

朝練から戻ってきた緑間たちの元へ夏妃がやってくる。

「おはようなのだよ!」
「おはよう」
「何の用だ」

挨拶を返す高尾と対照的に緑間は素っ気ない。

「普通挨拶返さない?まあいいや」

夏妃はクリアファイルを持っていて、その中から何かを取り出した。
タコが描かれた水墨画だった。

「お前…」
「探したらあったんだ。いやぁあるもんだね」

にひひ、と彼女は笑う。
しかし緑間は何も言わない。

「もしかしてもう手に入れてた?」
「ああ、その辺は大丈夫。朝練中もずっと悩んでたし」

高尾が代わりに答えると、じゃあよかったと夏妃はクリアファイルにしまってから緑間に渡す。

「はい、どうぞ」
「礼を言う」
「どういたしまして!」

じゃーね、と彼女は手を振って自分の教室へと戻って行く。

「よかったな、真ちゃん」
「………。」

緑間はじっと水墨画を見た。
そして、何かに気付いたようでわずかに目を見開いた。





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