いんぴに本文3
□Secret Sorrow
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〜ホヤサイド〜
「また泣いてるの?」
「うっ、ほやぁ…ふっ、」
「はぁ…ほら、おいで?」
ソファーの隣に座って腕を広げれば
最初の頃がウソのようにためらいなく抱き着いてくる。
「うっ、ごめ、…っ」
「うん。あんまり擦んないで?赤くなっちゃうよ」
「う、んっ…ふっ、」
目元を擦らないように胸に押し付けた。
今日で今月何回目だ?
えーっと、先々週泣いてたから、2回目か。
月一程度だったのに、最近多くなってきたなぁ
「ごめん…もう大丈夫…」
「本当に?もう泣き足りた?」
「ぷっ、なにそれ」
やっと笑った顔にホッとする。
オレは泣き顔よりその細い目がさらに細くなっちゃう笑った顔が好きだよ。
いつもは泣いて、泣いて、泣き疲れて寝たのをオレが抱きかかえて部屋に寝かせるか、
照れくさそうに誤って部屋に帰って行くかだ。
それが今日は、どちらでもないらしい。
「あのさ、」
「なんですか?」
平静を装ってるけどオレの心はバクバク。
隣に座ってるソンギュヒョンに聞こえるんじゃないかって冷や冷やしてる。
「聞かないの?」
「なにをー?」
どんな顔をしているのかわからないけど、その顔を見ないように外の月を見上げてた。
でも後ろからホッとしたようなため息が聞こえたから、オレの対応はそれでよかったんだろうと思う。
*
「ホヤヒョンもよくやりますよね」
「ソンジョン、なにが?」
楽屋での待機中。
ソンジョンとオレのふたりっきりになったタイミングにそう言われた。
顔を見上げれば、ため息つきながらカップコーヒーを差し出した。さすが気の利くマンネだな
。
「ソンギュヒョンですよ」
「…なに」
「よく片想いの相手が泣いてるの慰められますね」
「…泣いてたら慰めるだろ」
「それが普通の事だったらね。恋人のせいで泣いてるんですよ?相手殴ってやろうとか思わないんですか?」
「殴れるかよ…っていうかオレの事はいいの!」
ソンジョンの首に手を回して首を絞めてれば(いけませんよ!)ソンジョンが涙目になって焦る。
そんなに強くした覚えなかったけど、いい感じにしめちゃったか?!
「ホヤヒョンが可哀想で…」
「…ソンジョン…バーカ、ヒョンを甘くみんなよ。何年片想いしてると思ってんだ」
「ボクに泣きついていいんですよ?」
「もう!バカ!…ありがとうソンジョン。大丈夫だから、オレの為に泣いてくれてありがとうな」
楽屋のドアが開いて、外まで買い出しに行っていたメンバーが帰ってきて慌ててソンジョンはテッシュで涙を拭いた。
「あれ?ソンジョンどうした?」
「鼻炎?オレも辛いんだよー」
「…っ、そうなんですよー。ちょっとトイレで思いっきりかんできます」
泣き顔を見られないように隠して出て行ったソンジョンには後でなんか奢ってあげよう。
オレの為なんかに泣かなくていいよって釘を刺すのも忘れずに。
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