いんぴに4

□たどたどしく笑うキミ
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「そう…」


3週間くらい仕事でジャングルに滞在するって、電波が入りずらい所だから連絡も取りずらいかも。って言えば、悲しいのか笑ってるのかわからない顔で一言「そう」って言われた。

それっきりソンギュは喋らないし、ボクも続ける言葉がなくて黙ってた。


…あんまり寂しくないのかな。
最近すれ違いばっかりだったし、ケンカこそしないものの珍しく一緒にいても会話も少ない。
今だってそうだし…。


身じろぎするのも緊張してきた頃、
ソンギュがそろそろ帰るって立ちあがった。


このまま別れちゃうのかな…
ジャングルに行ってる間に自然消滅?
それもいいのかなー


宿舎近くまで送るよと靴を履くソンギュに言ったけど、断られた。


「もうすぐジャングル行くんだろ?…身体壊しちゃダメだし、タクシー拾うから」


こうゆう風に心配してくれる所は変わらないのね。
最後になるかもしれないおやすみのキスをソンギュにすれば、いつもは少し照れながらバイバイって帰るのに、今日はなんだか変。
なんでそんなたどたどしく笑うの。
そんな笑い方見た事ない。


「…じゃぁ、仕事頑張って…」


背中を向けたソンギュに、
もう2度と逢えない恐怖が身体を駆け巡って、気付いたら腕を掴んでた。
…さっきまで終わってもいいと思ってたのに…


「やっぱり、送るから。待ってて。」

「え、」

「待っててね。帰ったら許さないから!」


部屋までダッシュで走って、そんなに広くない宿舎を少し走っただけなのに息切れする。
コートと去年ソンギュにクリスマスプレゼントで貰ったマフラーを巻いて、玄関でオロオロと待つソンギュの元へ。
はぁはぁ、いいながらソンギュの手を握ってエレベーターに乗った。


「ジ、ジンギ、手…」


久しぶりに握ったソンギュの手は冷たくて、小さく感じた。こんな感じだったっけ?
ブツブツ言ってるソンギュは無視して、近くの公園に急いだ。少し速足で歩いたからまだ息が整わない。


息が落ち着いたら、言いたい事があるんだ。









お題提供元「確かに恋だった」さま

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