いんぴに4
□70.甘える
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久しぶりの逢瀬。
今日は敵地いんぴにの宿舎でデート。
着いた事を連絡して、オートロックを開けてもらって何回か来た廊下とエレベーターに段々テンションも上がってくるけど、場所は敵地なのだ…あの冷たい目(主にウヒョン)が耐えられなくて、デートは専らボクの宿舎。
玄関のインターフォンを鳴らすと、パタパタと足音が聞こえてロックを解除する音。
「ジンギ!」
出迎えてくれた恋人ソンギュ。
玄関に入ろうとしたらいきなり抱き着かれて、いきなりの事に焦りながらも中に入ったボクを褒めて欲しい。
「んん〜!」
頭をグリグリと胸に押し付けて来るソンギュに付いていけないボクは、とりあえず入った玄関のカギをかけていつもと違うソンギュを抱き締めた。
「ひ、久しぶり」
「ん〜久しぶり〜ジンギ〜」
どうしよう!
ソンギュ熱でもあるのかな?!!いつも手を握るだけでも頬を染めるソンギュが!
キスだけで爆発しちゃうんじゃないかと思うほど真っ赤になるソンギュが!!
「…あ!ごめん!いつまでも玄関なんて悪いな!」
「え?あ、ううん」
どうしようか迷っていると、パッと離れたソンギュ。少しホッとするけど、少し残念。
スリッパを用意してくれて、ソンギュに続いてリビングへ。誰かしらいると思ったのにそこには誰もいなくて、部屋にでもいるのかな?
ケーキ皆の分買って来たんだけど。
「ソンギュ、これ」
「ん?…あ!ケーキ?わぁ!美味しそう!」
「皆の分もあるから、食べて?」
「ありがとう!あいつら帰って来たら喜ぶわ」
「どう致しまして…って、皆いないの?」
「うん。なんかそれぞれ出掛けて、夜まで帰って来ないんだ〜」
へぇ、そう。っていうボクの声はソンギュに届いたろうか。しまって来る!とキッチンへ消えたソンギュの背を見ながらバクバク言っている心臓を抑える。
もうすぐ付き合って100日なのに。
これまでもふたりきりなんていっぱいあったのに。
ソンギュの慣れない態度のせいで、ドキドキドキドキ顔も赤いかも…。
「はい。おまたせ」
カチャカチャと飲み物とボクの買ってきたケーキを持ってきたソンギュは、可愛い薄ピンクのエプロンをしていた。
「どどどどどうしたの?!エプロンとか…」
「えへへ…この前ペンがくれてさ。うちのソンジョンもキッチンに立つ時は付けた方がいいですよっていうから…変?」
「全然!!!可愛いよ!!!似合ってる!」
「可愛いって…バカ…」
なにこの甘い雰囲気!!
めちゃくちゃ甘い!こうゆうの慣れてないから、どうしていいかわかんない!!!
でもイイ!!
「はい。オレンジしかなかったんだけど」
「あ、うん。大丈夫ありがとう」
「ケーキ…これでいい?」
「うん。ボクはなんでもいいよ」
ケーキの皿を受け取ろうと手を伸ばしたんだけど、なぜか皿はソンギュの前へ下された。
「はい…あーん」
「え???」
「ん?あーん」
「あ、あーん」
「美味しい?」
「うん」
あーんなんて、はじめてで。
ボクの分が食べ終わるまでそれは続いて、嬉しさとパニックに心臓は破裂寸前だった。
「ご、ごちそうさま」
「あは、ジンギが買ってきたケーキだろ?」
自分はちゃっかりひとりで食べたソンギュ。
ボクも食べさせてあげようとしても全力で逃げるんだもん。
「ジンギここおいで」
膝をポンポン叩かれて、願ってもない事に喜び半分緊張しながら寝転んだ。
「あ、白髪…苦労してんだな」
「ふふ、同い年でなに言ってんのさ」
「だって、リーダーって大変じゃん」
「ソンギュもでしょ」
「そうだった」
他愛ない話をそのまましていると、だんだん眠くなってきた。ソンギュには申し訳ないけど、生返事になってくる。
あー、食べた後に寝たら牛になっちゃうかも。でもはじめてのソンギュの膝枕と撫でてくれる手が気持ち良くて、どんどん瞼が重くなる。
「ジンギ、おやすみ」
なんか今日はソンギュに押されっぱなし…っていうか甘やかしてくれるっていうか。
でも、こんな日もいいかも。
次はボクがソンギュを甘やかしてあげようー…
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「ソンギュヒョン、もうすぐ100日ですね」
「うん」
「飽きられちゃうのも100日前後らしいですよ」
「!!!!!」
「たまには素直になったり、違う自分を見せて意外性を与えないと飽きられますよ?」
「!!!!!」
っていう裏話後のそんな日。